月刊そうすけvol.23
ー物の心を助けるーを社訓とする「古家具古道具そうすけ」その名の通り店内には、愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。
心を込めて、前の持ち主から新しい持ち主へのバトンタッチの役目を果たしたい。
一生付き合える古家具古道具との出会いがあることを願って…。
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雨が降ったり急に晴れたり朝と夜が涼しくて、日中は眩しい日差しが肌を焼きます。日本の四季が薄れているようにも思いつつ、確実に夏に近づいているような気配も感じる今日この頃。
さて6月の月刊そうすけは取材中に起こった出来事をメインディッシュに。
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時代の変化
店主米倉曰く、今年に入って2021年ごろの雰囲気に戻っている感じがするということです。
コロナ禍であった2022年2023年は、世間が家向きの傾向がありオンラインや来店数も上昇、しかしコロナも終焉、今年に入り5月はGWもあったということで外で遊ぶ傾向が増え、売り上げ的にも変化があると言います。
そうすけの進化
月刊そうすけでは
店主米倉が常に取り組み続けている、お店のあり方、改善の仕方、何を大切に商売をするかをピックアップし続けています。
取材を続ける中でHPやオンラインショップの見易さへの工夫、instagramの記事への戦略や取り組みなど
いつも課題を上げつつ、進化へ向かって着実に歩んでいると感じます。
古家具古道具という商材の限界(仕入れる量の在庫が確実に減ってきている)を目の当たりにしながら、新事業を立ち上げ、
毎日、PDCA(Plan/Do/Check/Action)を行なっています。
それは開業当初や鎌倉から寒川に移転した時も全く同じで、こうだろうと仮定して、計画して、実行して、検証して、改善するを毎日毎日やっています。
そうすけの事務(基礎)
月刊そうすけの取材は、特にテーマをガッツリと決めてのぞむことが少なく、今月はどのような話をしようかと検討中に、最近出版された一冊の本が常に聞いていた店主米倉の話とリンクするなと取材当日に持っていきました。
「生きのびるための事務」
坂口恭平 原作 道草晴子 漫画
脱線するようでしないので少しお読みいただけたら…。
坂口恭平さんというと
建築(0円ハウス)
絵を描く・音楽を奏でる
躁鬱病を公表していて、
自らの携帯番号を世界に晒して
死にたい人は誰でもかけていいよ
という「いのっちの電話」をやっている人…。
本を一冊も読んだことがなかったので
漠然と破天荒でアーティストでルール的なところから離れている人なのではと勝手に思い込んでいました。
その坂口氏が生きのびる上で一番と言っていいほど大切にしていることが「事務」であるとの衝撃(個人的な意見)の内容。
大学卒業時、定職に就くことを選べず、かといって人生設計が何か別にあるわけでもない20代前半に坂口氏の前に突然訪れた「ジム」というイマジナリーフレンド。
ジムの指南を受け、20年以上積み上げてきた坂口流「事務」の実績が今の彼の仕事、経済、ライフワークに落ち着いています。
「生きのびるための事務」は
冒険するためにあるものと言います。
誰かが作った道を歩くわけでない限り、自分のルールや事務を作り上げ進んでいくことがどれだけ人生において大事か、とくと思い知らされた一冊でした。
店主米倉の話を聞いていると、まさに同じことを言っている…積み重ねているなと思った次第で、熱くこの本をご紹介させていただきました。
おすすめです!ぜひご一読ください!
古家具古道具そうすけが毎日・毎週・毎月・年間を通して綿密に練られた基本的なルーティーン。
常に店内や事務所を整えておく事はお店の基礎として20数年積み重ねている事です。
店主米倉のテーマ
店を開いても、3年で30%、10年で1割しか残らないという現実。23年間古家具古道具という商売を続ける中で、常に立ち返る瞬間はあると言います。
鎌倉で、リサイクルショップとして一人で始めたこの商売も今はそうすけという店の理念を理解し、高い志で働いてくれているスタッフに恵まれてきました。
それが何よりそうすけの個性・魅力・売りになっているし、そこを強化していきたいというのがブレない思い。
実際来店したお客様にもスタッフの名前を覚えてもらえるような、そうすけが好きなお客様に店の個性をもっと知ってもらえたらという気持ちもあります。
店主米倉は19歳でアパレル業界に入り、そこからは販売一直線の人生。
アパレル業界から独立し、鎌倉という街を選んでそうすけを始めた頃は、土地柄も関係し、古道具(リサイクル品)という商材に出会うことができ、
リサイクルショップから古道具屋へと進化を遂げていきました。
鎌倉店は六地蔵の交差点に位置し、散歩コースや病院に行く途中の道だったりして地元に密着した形でスタートし、輪が広がっていきました。
毎日通ってくれる年配のお客さんがいました。
この人はこの年齢になるまでどういう人生を歩んできたんだろう?自然に興味が湧き、仲良くなりました。
このお客さんが亡くなった時は、所有していた家具をぜひそうすけに買い取って欲しいと遺言があったそうです。
リアル接客
取材中も、お店の方から賑やかな話し声がずっと聞こえてきていました。
気もそぞろになっていた店主米倉、
「本当はあっちにいきたんだよね!」と
ーどうぞどうぞと
ラッキーなことにこの日はそうすけ流接客術を目の当たりにできたのです。
埼玉(ほぼ茨城)から車で2時間半かけて来たというお子さん連れの若いご夫婦。
食器棚が壊れ、ずっと憧れていた古家具を今回初めて探しにきたといいます。
まだオンラインショップに写真をUPする前の、出来立てほやほやの少し変わったデザインの古家具に一目惚れしたらしく、とても幸せそうに店主米倉やスタッフの柿谷くんと楽しそうに会話しています。
米倉
「実はこれ、元下駄箱だったみたいだよ(棚板は綺麗に交換してあるので食器棚として使って大丈夫)
ここの部分が傘立てになってたんだよ、
この棚板は多分元のまま、ここは前の持ち主が直したかもしれない。
ここが可愛いよね、ここが変わっていていいよね、こういう風にも使えるよ。」
愛情を持って古家具を丁寧にお客様に説明していきます。
自然と笑い声が上がります。
ーこの家具を選んだ決めては?質問すると
お客様の奥様
「私は透明なガラスが好きで、主人はダイアガラス(模様が入ったガラス)が好きで両方入っているので、ちょうどよかったんです。
古家具を買うのも初めて、普通の賃貸の家で、家具にこだわる余裕もなかったけど食器棚が壊れて、せっかくだからこの先ずっと使えるものを探したかったので出会いがあって嬉しいです。」
オンラインで古家具をずっと奥様がリサーチしていた中こんなのどうかなとご主人に提案したら、ご主人の方がドハマりしてしまい色々探した中、そうすけに行き着いたと言います。
選ぶ古家具のデザインセンスや、修復の丁寧さ、そして価格帯の誠実さが決め手だったとか。
2時間半かけて、そうすけだけに来たという情熱、
そして、お店に来て本当によかった!!!と心から嬉しそうな感想をご夫婦から聞けてこちらもなんだかとても胸がいっぱいになりました。
これが、店主米倉がずっと、一番大事にしていることなのだと目の当たりにできた、最高の取材日だったのでした。
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「古家具古道具そうすけ」
https://www.so-suke.com/
https://www.instagram.com/sosuke312/
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取材:合同会社ノスリ舎