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コンピテンシー日記|『建設部門:都市及び地方計画』技術士さんの日常(その2)


1. はじめに

 皆さん、こんにちは。建設部門の都市及び地方計画を専門とする技術士です。今回は、日々の業務を通じて実践しているコンピテンシーについて、具体的な事例を交えながらお話しします。技術士試験を目指す皆さんにとって、実務におけるコンピテンシーの重要性を理解する一助となれば幸いです。

1.1 地域活性化プロジェクトにおけるコミュニケーションとリーダーシップ

 今週は、地方都市の中心市街地活性化プロジェクトのキックオフミーティングがありました。このプロジェクトでは、地域の特性を活かしつつ、持続可能な都市づくりを目指しています。
 まず、プロジェクトの目的と概要を説明し、各ステークホルダーの役割を明確にしました。地元商店街の代表者、市役所の担当者、都市計画の専門家など、多様な背景を持つメンバーが参加していたため、専門用語を極力避け、わかりやすい言葉で説明することを心がけました。
 議論が白熱した際には、各意見を丁寧に聞き取り、共通点を見出すことでチームの方向性を導きました。例えば、歴史的な街並みの保存と新しい商業施設の導入という一見相反する意見が出た際には、両者のバランスを取る「リノベーションによる町家の活用」という提案をし、合意形成を図りました。
 これらの対応は、技術士に求められる「コミュニケーション能力」と「リーダーシップ」の実践例です。多様な意見を尊重しつつ、プロジェクトの目標達成に向けてチームを導くことが重要です。

1.2 都市計画マスタープラン改定における評価とマネジメント

 現在、ある自治体の都市計画マスタープランの改定作業に携わっています。この作業では、現状の評価と将来予測に基づいて、適切な計画を立案する必要があります。
 まず、人口動態、産業構造、土地利用状況などの基礎データを収集・分析しました。その際、GIS(地理情報システム)を活用して空間的な分析を行い、課題を可視化しました。例えば、高齢化率の高い地域と公共交通の利便性の低い地域を重ね合わせることで、今後重点的に対策が必要なエリアを特定しました。
 また、計画の実現可能性を高めるため、財政面での制約や法制度の変更なども考慮に入れています。限られた予算の中で最大の効果を発揮できるよう、費用対効果の分析も欠かせません。
 これらのプロセスは、技術士に求められる「評価」と「マネジメント」能力の発揮そのものです。データに基づく客観的な評価と、実現可能性を考慮したマネジメントが、質の高い都市計画には不可欠です。

1.3 開発事業における技術者倫理の実践

 先日、大規模な住宅開発事業の環境影響評価に関する相談を受けました。この事業は、自然豊かな丘陵地を開発するもので、生態系への影響が懸念されていました。
 技術士として、開発による経済効果と環境保全のバランスを取ることが求められます。単に法令の基準をクリアするだけでなく、将来世代への影響も考慮に入れる必要があります。
 そこで、開発区域内に生態系の回廊(コリドー)を設けることを提案しました。これにより、野生動物の移動経路を確保しつつ、開発事業も進められるという Win-Win の解決策を見出すことができました。
 また、地域住民に対しては、計画の透明性を確保するため、早い段階から情報公開と意見交換の場を設けることを事業者に進言しました。
 このような対応は、技術者倫理の実践例といえます。短期的な利益だけでなく、長期的な視点で社会や環境への影響を考慮し、公正な判断を下すことが技術士には求められます。

1.4 継続研鑽:最新技術と社会動向の学習

 技術士として、常に最新の知識と技術を吸収することが重要です。先週は、「スマートシティと SDGs」をテーマとしたオンラインセミナーに参加しました。
 このセミナーでは、IoT や AI を活用した都市管理システムの最新事例や、SDGs の目標達成に向けた都市計画の在り方について学びました。例えば、センサーネットワークを利用した交通流の最適化や、再生可能エネルギーの効率的な利用など、具体的な実装例を知ることができました。
 また、海外の先進事例も紹介され、日本の都市計画にも応用できるアイデアを得ることができました。
 このような継続的な学習は、日々変化する社会のニーズに対応し、より良い都市づくりを実現するために不可欠です。技術士試験の合格はゴールではなく、プロフェッショナルとしての成長の始まりに過ぎません。

2. 今日の学びと受験生へのアドバイス

 今日の経験を通じて、改めて技術士に求められる総合的な能力の重要性を実感しました。技術的な知識はもちろんのこと、コミュニケーション能力、リーダーシップ、倫理観、そして常に学び続ける姿勢が、プロジェクトの成功には欠かせません。

 技術士試験に挑戦する皆さんへのアドバイスです。試験対策は重要ですが、それと同時に、日々の業務や社会情勢にも目を向けてください。新聞やニュースで都市計画に関連する話題を見つけたら、技術士の視点でどのように分析し、対応するかを考えてみるのも良いでしょう。

 また、倫理観や社会的責任について深く考える機会を持つことも大切です。技術的な解決策が、必ずしも最適な選択とは限りません。社会全体への影響を常に意識する習慣を身につけてください。

 技術士としての日々は、常に新しい課題との出会いの連続です。しかし、それらの課題を解決していく過程こそが、プロフェッショナルとしての成長につながります。皆さんも、日々の学びを大切にし、社会に貢献できる技術士を目指してください。


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小泉士郎🎈&H|技術士(建設・総監部門)|R7筆記試験対策|セルフケア
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