技術士第二次試験:必須問題Ⅰ対策法 【09建設部門】+過去問解答例10題&R6予想問題8題付き
【1】 注意事項
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。
・本記事は技術士第二次試験の小泉講座受講生に無料配布する記事です。
・当受講生以外の方でも、有料で読むことが可能です。
・第7章に「過去問題(令和1~5年度)の解答例10題を
載せています(有料範囲)。
・第10章に令和6年度試験の予想問題8題を載せています(有料範囲)。
・第12章に添削の案内を載せています(有料範囲)。
建設部門「必須問題Ⅰ」の対策法について、以下に私見を述べます。
【2】 無料面談のご案内(満枠のため一時中断しております🙇🙇🙇)
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・技術士第二次試験の受験経験のない方
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【3】 必須問題Ⅰの過去問題(R01~R05)
「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。
3.1 R01:Ⅰ-1
我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており、今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で、その減少を上回る生産性の向上等により、我が国の成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こし、経済成長を続けていくことが求められている。
こうした状況下で、社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においても生産性の向上が必要不可欠となっていることを踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)建設分野における生産性の向上に関して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出して分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
3.2 R01:Ⅰ-2
我が国は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象に起因する自然災害を繰り返しさいなまれてきた。自然災害への対策については、南海トラフ地震、首都直下型地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや、気候変動の影響等により水災害、土砂災害が多発していることから、その重要性がますます高まっている。
こうした状況下で、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」(ナショナル・レジリエンス)を推進していく必要があることを踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するために、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
3.3 R02:Ⅰ-1
我が国の総人口は、戦後増加を続けていたが、2010年頃をピークに減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、2065年には8,808万人に減少することが予測されている。私たちの暮らしと経済を支えるインフラ整備の担い手であり、地域の安全・安心を支える地域の守り手でもある建設産業においても、課題の1つとしてその担い手確保が挙げられる。
(1)それぞれの地域において、地域の中小建設業が今後もその使命を果たすべく担い手を確保していく上で、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。
(2)抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と新たな懸案事項への対応策を示せ。
(4)上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
3.4 R02:Ⅰ-2
我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。
こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対応策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
3.5 R03:Ⅰ-1
近年、地球環境問題がより深刻化してきており、社会の持続可能性を実現するために「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」の構築はすべての分野で重要な課題となっている。社会資本の整備や次世代への継承を担う建設分野においても、インフラ・設備・建築物のライフサイクルの中で、廃棄物に関する問題解決に向けた取り組みをより一層進め、「循環型社会」を構築していくことは、地球環境問題の克服と持続可能な社会基盤整備を実現するために必要不可欠なことである。このような状況を踏まえて以下の問いに答えよ。
(1)建設分野において廃棄物に関する問題に対して循環型社会の構築を実現するために、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件、留意点を述べよ。
3.6 R03:Ⅰ-2
近年、災害が激甚化・頻発化し、特に、梅雨や台風時期の風水害(降雨、強風、高潮・波浪による災害)が毎年のように発生しており、全国各地の陸海域で、土木施設、交通施設や住民の生活基盤に甚大な被害をもたらしている。こうした状況の下、国民の命と暮らし、経済活動を守るためには、これまで以上に、新たな取組を加えた幅広い対策を行うことが急務となっている。
(1)災害が激甚化・頻発化する中で、風水害による被害を、新たな取組を加えた幅広い対策により防止又は軽減するために、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
3.7 R04:Ⅰ-1
我が国では、技術革新や「新たな日常」の実現など社会経済情勢の激しい変化に対応し、業務そのものや組織、プロセス、組織文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進を図ることが焦眉の急を要する問題となっており、これはインフラ分野においても当てはまるものである。
加えて、インフラ分野ではデジタル社会到来以前に形成された既存の制度・運用が存在する中で、デジタル社会の新たなニーズに的確に対応した施策を一層進めていくことが求められている。
このような状況下、インフラへの国民理解を促進しつつ安全・安心で豊かな生活を実現するため、以下の問いに答えよ。
(1)社会資本の効率的な整備、維持管理及び利活用に向けてデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
3.8 R04:Ⅰ-2
世界の地球温暖化対策目標であるパリ協定の目標を達成するため、日本政府は令和2年10月に、2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、新たな削減目標を達成する道筋として、令和3年10月に地球温暖化対策計画を改定した。また、国土交通省においては、グリーン社会の実現に向けた「国土交通グリーンチャレンジ」を公表するとともに、「国土交通省環境行動計画」を令和3年12月に改訂した。
このように、2050年カーボンニュートラル実現のための取組が加速化している状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)建設分野におけるCO2排出量削減及びCO2吸収量増加のための取組を実施するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
3.9 R05:Ⅰ-1
今年は1923(大正12)年の関東大震災から100年が経ち、我が国では、その間にも兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震など巨大地震を多く経験している。
これらの災害時には地震による揺れや津波等により、人的被害のみでなく、建築物や社会資本にも大きな被害が生じ復興に多くの時間と費用を要している。そのため、将来発生が想定されている南海トラフ巨大地震、首都直下型地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害を最小化するために、国、地方公共団体等ではそれらへの対策計画を立てている。
一方で、我が国では少子高齢化が進展する中で限りある建設技術者や対策に要することができる資本の制約あるのが現状である。
このような状況において、これらの巨大地震に対して地震災害に屈しない強靭な社会の構築を実現するための方策について、以下の問いに答えよ。
(1)将来発生しうる巨大地震を想定して建築物、社会資本の整備事業及び都市の防災対策を進めるに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
3.10 R05:Ⅰ-2
我が国の社会資本は多くが高度経済成長期以降に整備され、今後建設から50年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する。このような状況を踏まえ、2013(平成25)年に「社会資本の維持管理・更新に関する当面講ずべき措置」が国土交通省から示され、同年が「社会資本メンテナンス元年」と位置づけられた。これ以降これまでの10年間に安心・安全のための社会資本の適正な管理に関する様々な取組が行われ、施設の現状把握や予防保全の重要性が明らかになるなどの成果が得られている。しかし、現状は直ちに措置が必要な施設や事後保全段階の施設が多数存在するものの、人員や予算の不足をはじめとした様々な背景から修繕に着手できていないものがあるなど、予防保全の観点も踏まえた社会資本の管理は未だ道半ばの状態にある。
(1)これからの社会資本を支える施設のメンテナンスを、上記のようなこれまでの10年の取組を踏まえて「第2フェーズ」として位置づけ取組・推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
【4】 過去問題の課題文
4.1 本記事の「課題文」とは
ここで、本記事において「課題文」を
❝ 設問(1)より手前に記載された問題文の文章 ❞ と
❝ 設問(1)の一部 ❞ を引用し、
語尾を「△△△を○○○する(or させる)」と表現する形式として
「受験者へ問いかける『テーマ(課題)』」
と位置づけます。 この「テーマ(課題)」では、後述5.1~5.4節に示す設問(1)~(4)の「標準問題文」に解答できるように、過去問題文を変更します。
4.2 過去問題の「課題文」
R01~R05年の必須問題Ⅰの「課題文」を以下のとおり整理する。
4.2.1 R01:Ⅰ-1「課題文」
我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており、今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で、その減少を上回る生産性の向上等により、我が国の成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こし、経済成長を続けていくことが求められている。
こうした状況下で、社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野において生産性を向上させる。
4.2.2 R01:Ⅰ-2「課題文」
我が国は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象に起因する自然災害を繰り返しさいなまれてきた。自然災害への対策については、南海トラフ地震、首都直下型地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや、気候変動の影響等により水災害、土砂災害が多発していることから、その重要性がますます高まっている。
こうした状況下で、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」(ナショナル・レジリエンス)を推進していく必要がある。
これらを踏まえて、ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築する。
4.2.3 R02:Ⅰ-1「課題文」
我が国の総人口は、戦後増加を続けていたが、2010年頃をピークに減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、2065年には8,808万人に減少することが予測されている。私たちの暮らしと経済を支えるインフラ整備の担い手であり、地域の安全・安心を支える地域の守り手でもある建設産業においても、課題の1つとしてその担い手確保が挙げられる。
これらの状況を踏まえ、それぞれの地域において、地域の中小建設業が今後もその使命を果たすべく担い手を確保する。
4.2.4 R02:Ⅰ-2「課題文」
我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べて、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。
こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠である。
これらを踏まえ、社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進する。
4.2.5 R03:Ⅰ-1「課題文」
近年、地球環境問題がより深刻化してきており、社会の持続可能性を実現するために「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」の構築はすべての分野で重要な課題となっている。社会資本の整備や次世代への継承を担う建設分野においても、インフラ・設備・建築物のライフサイクルの中で、廃棄物に関する問題解決に向けた取り組みをより一層進め、「循環型社会」を構築していくことは、地球環境問題の克服と持続可能な社会基盤整備を実現するために必要不可欠なことである。
このような状況を踏まえ、建設分野において廃棄物に関する問題に対して循環型社会の構築を実現する。
4.2.6 R03:Ⅰ-2「課題文」
近年、災害が激甚化・頻発化し、特に、梅雨や台風時期の風水害(降雨、強風、高潮・波浪による災害)が毎年のように発生しており、全国各地の陸海域で、土木施設、交通施設や住民の生活基盤に甚大な被害をもたらしている。こうした状況の下、国民の命と暮らし、経済活動を守るためには、これまで以上に、新たな取組を加えた幅広い対策を行うことが急務となっている。
災害が激甚化・頻発化する中で、風水害による被害を、新たな取組を加えた幅広い対策により防止又は軽減する。
4.2.7 R04:Ⅰ-1「課題文」
我が国では、技術革新や「新たな日常」の実現など社会経済情勢の激しい変化に対応し、業務そのものや組織、プロセス、組織文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進を図ることが焦眉の急を要する問題となっており、これはインフラ分野においても当てはまるものである。
加えて、インフラ分野ではデジタル社会到来以前に形成された既存の制度・運用が存在する中で、デジタル社会の新たなニーズに的確に対応した施策を一層進めていくことが求められている。
このような状況下、インフラへの国民理解を促進しつつ安全・安心で豊かな生活を実現するため、社会資本の効率的な整備、維持管理及び利活用に向けてデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する。
4.2.8 R04:Ⅰ-2「課題文」
世界の地球温暖化対策目標であるパリ協定の目標を達成するため、日本政府は令和2年10月に、2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、新たな削減目標を達成する道筋として、令和3年10月に地球温暖化対策計画を改定した。また、国土交通省においては、グリーン社会の実現に向けた「国土交通グリーンチャレンジ」を公表するとともに、「国土交通省環境行動計画」を令和3年12月に改訂した。
このように、2050年カーボンニュートラル実現のための取組が加速化している状況を踏まえ、建設分野におけるCO2排出量削減及びCO2吸収量増加のための取組を実施する。
4.2.9 R05:Ⅰ-1「課題文」
2023年は1923(大正12)年の関東大震災から100年が経ち、我が国では、その間にも兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震など巨大地震を多く経験している。
これらの災害時には地震による揺れや津波等により、人的被害のみでなく、建築物や社会資本にも大きな被害が生じ復興に多くの時間と費用を要している。そのため、将来発生が想定されている南海トラフ巨大地震、首都直下型地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害を最小化するために、国、地方公共団体等ではそれらへの対策計画を立てている。
一方で、我が国では少子高齢化が進展する中で限りある建設技術者や対策に要することができる資本の制約あるのが現状である。
このような状況において、これらの巨大地震に対して地震災害に屈しない強靭な社会の構築を実現するための方策に関し、将来発生しうる巨大地震を想定して建築物、社会資本の整備事業及び都市の防災対策を進める。
4.2.10 R05:Ⅰ-2「課題文」
我が国の社会資本は多くが高度経済成長期以降に整備され、今後建設から50年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する。このような状況を踏まえ、2013(平成25)年に「社会資本の維持管理・更新に関する当面講ずべき措置」が国土交通省から示され、同年が「社会資本メンテナンス元年」と位置づけられた。これ以降これまでの10年間に安心・安全のための社会資本の適正な管理に関する様々な取組が行われ、施設の現状把握や予防保全の重要性が明らかになるなどの成果が得られている。しかし、現状は直ちに措置が必要な施設や事後保全段階の施設が多数存在するものの、人員や予算の不足をはじめとした様々な背景から修繕に着手できていないものがあるなど、予防保全の観点も踏まえた社会資本の管理は未だ道半ばの状態にある。
これからの社会資本を支える施設のメンテナンスを、上記のようなこれまでの10年の取組を踏まえて「第2フェーズ」として位置づけ取組・推進する。
【5】 設問(1)~(4)の傾向 →「標準問題文」の設定
5.1 設問(1)の傾向 →「標準問題文」の設定
R01年以降、設問(1)~(4)の問題文は、部門により違いがあるものの、おおむね統一されている。また、「建設」部門のR01年以降の設問(1)は問題文が年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R03~R05年の問いかけを参照として、設問(1)の標準問題文を以下のとおり設定する。
★「課題文」に示した内容を踏まえ、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
設問(1)では、この問題文がR06年以降の想定問題に引用できると考える。
5.2 設問(2)の傾向 →「標準問題文」の設定
R01年以降、「建設」部門の設問(2)問題文は年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R05年の問題Ⅰ-2の問いかけを参照として、設問(2)の標準問題文を以下のとおり設定する。★前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
R06年以降の設問(2)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。
5.3 設問(3)の傾向 →「標準問題文」の設定
R01年以降、「建設」部門の設問(3)問題文は年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R04~R05年の問いかけを参照として、設問(3)の標準問題文を以下の2ケースで設定する。★前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
★前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
R06年以降の設問(3)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。
5.4 設問(4)の傾向 →「標準問題文」の設定
R01年以降、「建設」部門の設問(4)問題文は、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R03~R05年の問いかけを参照として、設問(4)の標準問題文を以下のとおり設定する。★前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
R06年以降の設問(4)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。
【6】 コンピテンシー(必須問題Ⅰ)
必須問題Ⅰに求められるコンピテンシー(技術士に求められる資質)は、
下記PDFファイル(p10)を参考に記載します。
コンピテンシーは8項目ありますが、必須問題Ⅰに問われるのは、そのうちの5項目です。本章ではコンピテンシー8項目を全て記載しますが、必須問題Ⅰに関わる5項目にはタイトルに「(〇)」を付記します。
必須問題Ⅰで問われるコンピテンシーを意識して、解答論文を作成してください。
6.1 専門的学識(〇)
➀ 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
② 技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。
6.2 問題解決(〇)
➀ 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
② 複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。
6.3 マネジメント(必須問題Ⅰでは評価されない)
(略)
6.4 評価(〇)
● 業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。
6.5 コミュニケーション(〇)
➀ 業務履行上、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
② 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
6.6 リーダーシップ(必須問題Ⅰでは評価されない)
(略)
6.7 技術者倫理(〇)
➀ 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮したうえで、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
② 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
③ 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
6.8 継続研さん(必須問題Ⅰでは評価されない)
(略)
【7】 過去問題の解答例
R01~R05年度の必須問題Ⅰ(全10題)の解答例を以下に示しますので、参考になさってください。なお、問題文は本ブログの3.1~3.10節に掲載しています。
7.1 R01:Ⅰ-1 解答例
(1)多面的な課題抽出
我が国の人口減少という状況下において、建設分野における生産性の向上は喫緊の課題である。この課題には、技術者の視点から多面的な観点での課題抽出が求められる。
1)人材不足の観点
若手技術者の育成が不十分であることや、技術革新の速度と現場への適用のギャップが生じていることが挙げられる。
2)技術革新の観点
新技術の導入に際し、その現場への適用や効率化が不十分であることが挙げられる。
3)安全性と効率性の両立の観点
効率化の追求が安全性を犠牲にすることが懸念される。
(2)最重要課題と解決策
前述した課題のうち、最も重要と考える課題は「安全性と効率性の両立」と考える。この課題に対処するためには、安全教育の充実やリスクマネジメントの強化が必要である。
1)安全教育の充実
安全教育の充実は、現場での安全意識の向上や事故の予防に直結する。具体的には、従業員への定期的な安全トレーニング及びシミュレーション演習の実施、安全に関する情報の共有及び定例会議の開催などが挙げられる。また、新入社員や新たな作業員への継続的な教育プログラムの導入も重要である。
2)リスクマネジメントの強化
リスクマネジメントの強化は、プロジェクト全体の安全性と効率性の向上につながる。具体的には、リスク評価と対策の定期的な実施、リスク管理計画の策定と実行、リスクに関する情報の共有及び定例的な監査の実施などが必要である。
また、リスクの特定と分析を行うためのチームを設立し、専門知識を活用してリスクへの対応策を継続的に改善していくことが重要である。
(3)リスクと対策
1)新技術導入に伴う技術的リスク
新たな技術を導入する場合、その技術が十分に成熟しておらず、予期せぬ障害やシステムの不具合が発生する可能性がある。これによってプロジェクトの進行が遅れ、予算超過や品質低下などの問題が生じる恐れがある。
2)人材不足によるリスク
建設業界は人手不足が深刻であり、新たな技術を導入するために必要な専門知識やスキルを持った人材の確保が困難な場合がある。これによって、導入した技術の適切な運用や管理が困難になり、プロジェクトの効率性や品質に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対処するためには、以下のような対策を講じることが重要である。
1)新技術導入に伴う技術的リスク対策
事前の技術評価やテストフェーズの充実が必要である。また、導入前に十分なトレーニングプログラムを実施し、関連するスタッフや従業員のスキルを向上させることで、リスクを最小限に抑えることができる。
2)人材不足によるリスク対策
積極的な人材育成プログラムの導入、外部の専門家及びコンサルタントの活用が有効である。さらに、従業員のモチベーション向上及び働きやすい環境の整備も重要である。
(4)技術者倫理と社会持続可能性に必要な要件
技術者倫理の観点として、安全性、品質、環境への配慮が重要である。従業員の安全を確保し、社会に貢献することが求められる。また、建設プロジェクトの品質を確保し、長期的な信頼関係を築くことも重要である。
社会の持続可能性の観点では、資源の効率的な利用及び環境への影響の最小化が求められる。再生可能エネルギーの利用及び廃棄物のリサイクルなど、環境負荷を軽減する取り組みが必要である。
これらの要件を満たすためには、業界標準及び法令を遵守し、最新の技術及びベストプラクティスを活用することが不可欠である。また、ステークホルダーとの協力や情報共有も重要である。
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