コンピテンシー日記|『建設部門:施工計画、施工設備及び積算』技術士さんの日常(その2)
1. 技術と人をつなぐ|現場で活きるコンピテンシー
今日も充実した一日でした。技術士として、日々の業務の中でコンピテンシーを意識しながら仕事に取り組んでいます。今回は、ある橋梁の補修工事プロジェクトを通じて、これらのコンピテンシーがどのように活かされているかをお伝えしたいと思います。
1.1 橋を架ける技術と心|コミュニケーションとリーダーシップ
朝一番に、橋梁補修工事の現場視察がありました。この工事は交通量の多い都市部で行われるため、安全管理と工程管理が特に重要です。現場に到着すると、作業員の方々や地域住民の代表者が集まっていました。
ここでまず求められたのが、コミュニケーション能力とリーダーシップです。技術的な内容を、専門家ではない地域住民の方々にも分かりやすく説明することが重要でした。工事の必要性、期間、そして予想される騒音や交通規制などについて、図や模型を用いて丁寧に説明しました。
また、作業員の方々には安全管理の重要性を再確認し、「ヒヤリ・ハット報告」の徹底を呼びかけました。これは些細なミスや危険の芽を早期に発見し、重大な事故を未然に防ぐための重要な取り組みです。
リーダーとして、チーム全体の意識を高め、プロジェクトの円滑な進行と地域との良好な関係構築に努めました。
1.2 数字が語る現場の真実|評価とマネジメント
午後は事務所に戻り、プロジェクトの中間評価を行いました。ここでは評価とマネジメントのコンピテンシーが重要になります。
まず、工程表と実際の進捗状況を比較し、遅れが生じている箇所を特定しました。原因を分析したところ、特殊な補修材料の調達に予想以上の時間がかかっていることが判明しました。
次に、コスト面での評価を行いました。当初の見積もりと実際の支出を照らし合わせ、資材費の高騰による影響を数値化しました。これらの分析結果を基に、今後の対策を検討しました。
具体的には、代替材料の使用可能性や、工程の一部並行実施による遅れの挽回案を提案しました。また、コスト超過を最小限に抑えるため、他の項目での経費削減案も併せて提示しました。
このように、客観的なデータに基づいた評価と、それを踏まえた適切なマネジメント判断が、プロジェクトの成功には不可欠です。
1.3 安全と品質、妥協は許されない|技術者倫理の実践
夕方、協力会社から提案された新しい補修工法について検討する機会がありました。この工法は工期短縮とコスト削減が期待できる一方で、長期的な耐久性に関するデータが十分ではありませんでした。
ここで問われるのが技術者倫理です。短期的な利益を優先するか、それとも長期的な安全性と品質を重視するか。私は後者を選択し、従来の実績ある工法を採用することを提案しました。
橋梁は多くの人々が日常的に利用する重要なインフラです。その安全性と耐久性を確保することは、技術士としての社会的責任であり、決して妥協できない部分です。新技術の採用は重要ですが、十分な検証と慎重な判断が必要です。
この決断には、技術士として培ってきた専門知識と高い倫理観が不可欠でした。技術者倫理は、日々の判断や意思決定の基盤となる重要なコンピテンシーだと再認識しました。
1.4 知識は力、学びに終わりなし|継続研さんの実践
一日の業務を終えた後、夜は最新の橋梁補修技術に関するオンラインセミナーに参加しました。テーマは「IoTセンサーを活用した橋梁モニタリングシステム」でした。
橋梁の状態をリアルタイムで監視し、早期に劣化や異常を検知するこの技術は、維持管理の効率化と安全性向上に大きく貢献する可能性があります。セミナーで得た知見を、現在進行中のプロジェクトにどう活かせるか、具体的なアイデアをノートに書き留めました。
技術の進歩は目覚ましく、常に新しい知識やスキルを吸収し続けることが求められます。継続的な学習と自己研鑽は、技術士として成長し続けるための原動力です。日々の業務に追われがちですが、このような機会を意識的に作ることで、専門性の向上と視野の拡大を図っています。
2. 今日の学びと受験生へのメッセージ
今日一日を振り返り、技術士に求められるコンピテンシーが、実際の業務の中でいかに重要かを改めて実感しました。特に、コミュニケーション力と倫理観は、専門知識や技術を適切に活用し、社会に貢献するために不可欠なスキルです。
技術士試験の受験生の皆さんへ。試験勉強も大切ですが、日々の業務や経験を通じて、これらのコンピテンシーを意識的に磨いていくことが、真の技術士としての成長につながります。知識だけでなく、その知識をどう活かすか、どう判断するかという点にも注目して学習を進めてください。
技術士としての道のりに終わりはありません。しかし、それこそが私たちの仕事の醍醐味であり、やりがいなのです。共に学び、成長し続けましょう。社会の安全と発展に貢献できる技術士を目指して、共に頑張りましょう。
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