コンピテンシー日記|『建設部門・鋼構造及びコンクリート』技術士さんの日常(その2)
1. 設計変更から学ぶ柔軟性とイノベーションの重要性
今日は、進行中の大規模商業施設建設プロジェクトにおいて、予期せぬ地盤条件の変化に対応するための設計変更会議に参加しました。この経験を通じて、技術士として求められる様々なコンピテンシーを実践する機会に恵まれました。
1) コミュニケーション・リーダーシップ
会議の冒頭で、地質調査の結果と現状の設計との齟齬について説明しました。構造設計者、地盤工学の専門家、施工管理者など、異なる専門性を持つ参加者それぞれの視点を尊重しながら、問題の本質を共有することに努めました。
議論が膠着状態に陥った際には、各専門家の意見を整理し、共通点と相違点を明確にすることで、建設的な対話を促進しました。また、クライアントの代表者に対しては、技術的な内容を分かりやすく説明し、設計変更の必要性と影響について理解を得ることができました。
2) 評価・マネジメント
設計変更の検討に際し、構造安全性、工期、コスト、環境影響などの多角的な視点から評価を行いました。特に、地盤改良工法の選定では、従来工法と新工法のメリット・デメリットを定量的に比較分析し、最適な解決策を提案しました。
また、設計変更に伴う工程への影響を最小限に抑えるため、クリティカルパス法を用いて工程を再検討し、並行作業の可能性を探りました。これにより、全体の工期遅延を当初予想の半分以下に抑えることができました。
3) 技術者倫理
設計変更に伴い、一部の建材を当初指定していたものから変更する必要が生じました。その際、コスト削減を優先し、品質や耐久性を犠牲にするような選択肢も提案されましたが、長期的な建物の安全性と利用者の利益を最優先に考え、適切な代替材料を選定することを主張しました。
また、設計変更による環境への影響について、法令で定められた基準以上の配慮を行うことを提案しました。これは、技術者として社会的責任を果たすとともに、プロジェクトの社会的価値を高めることにもつながります。
4) 継続研さん
今回の地盤条件の変化に対応するため、最新の地盤改良技術について緊急に調査する必要がありました。学会誌や技術報告書を迅速に読み込み、また、専門家にコンサルテーションを依頼して知見を深めました。
特に、地盤工学と構造工学の境界領域に位置する問題であったため、両分野の最新動向を把握することの重要性を再認識しました。この経験を踏まえ、今後は定期的に関連分野の研究発表会に参加し、学際的な視点を養う必要性を感じています。
2. 今日の学びと受験生へのアドバイス
今日の経験から、技術士に求められるコンピテンシーは、専門知識を基盤としつつも、それを実際の問題解決に柔軟に適用する能力であることを強く実感しました。また、異なる専門分野や立場の人々と協働し、最適な解決策を導き出す力が不可欠であることも学びました。
技術士試験の受験生の皆さんへのアドバイスとしては、以下の点を意識して日々の業務に取り組むことをお勧めします。
1)自身の専門分野だけでなく、関連分野の基礎知識も幅広く学ぶ
2)技術的な問題に直面した際、多角的な視点から解決策を考える習慣をつける
3)チーム内でのコミュニケーションを大切にし、異なる意見を調整する経験を積む
4)技術の社会的影響や倫理的側面について、常に考察する姿勢を持つ
5)業界の最新動向に注目し、新技術や新工法の適用可能性を探る
これらの実践を通じて、単なる知識の蓄積ではなく、実践的な問題解決能力を身につけていくことが、技術士として成長する上で重要です。皆さんの挑戦と成長を心から応援しています。
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