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コンピテンシー日記|『建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋』技術士さんの日常(その2)


1. 海岸保全プロジェクトにおける技術士の役割と挑戦

 今日は、私が現在取り組んでいる海岸保全プロジェクトの現場視察と関係者会議がありました。このプロジェクトは、気候変動に伴う海面上昇と台風の大型化に対応するため、既存の海岸堤防の強化と生態系に配慮した防災緑地の整備を行うものです。

① コミュニケーション、リーダーシップ

 現場視察では、地元漁業協同組合の代表者と環境保護団体のメンバーも同行しました。両者の間で、防災機能の強化と漁業資源の保護について意見の相違がありました。私は、双方の立場を尊重しながら、科学的根拠に基づいた説明を心がけました。特に、環境に配慮した新しい消波ブロックの導入が、漁場環境の改善にも寄与する可能性を具体的なデータを用いて説明しました。
 若手技術者には、このような利害関係者との対話の場に同席してもらい、技術的な説明だけでなく、相手の立場に立って考えることの重要性を伝えました。

② 評価、マネジメント

 関係者会議では、プロジェクトの進捗状況と今後の計画について議論しました。私は、最新の海面上昇予測モデルを用いて、現在の設計が将来的にも十分な防災機能を発揮できるか評価しました。その結果、一部区間で設計変更の必要性が明らかになりました。
 また、生態系への影響を最小限に抑えるため、工事のタイミングを地域の生物の繁殖期を避けて調整することを提案しました。これにより、プロジェクトの環境面での価値を高めつつ、地域との良好な関係を維持できると考えたのです。

③ 技術者倫理

 会議中、予算削減のために環境モニタリングの頻度を減らすという提案がありました。しかし、私は技術者倫理の観点から、環境への影響を適切に評価し、必要な対策を講じることの重要性を強調しました。
 代替案として、ICTを活用した効率的なモニタリング手法の導入を提案し、コスト削減と環境保全の両立を図る方向性を示しました。この提案は、若手技術者たちに技術革新と倫理的配慮の重要性を実感させる良い機会となりました。

④ 継続研さん

 会議後、私は最新の海岸工学に関する論文を読み、特に自然を活用した防災・減災(Eco-DRR)の概念と実践例について学びました。また、来月開催される国際会議での発表準備を進め、グローバルな視点から自身のプロジェクトを見直す機会としました。
 若手技術者には、日々の業務で直面する課題を研究テーマとして捉え、学会発表や論文投稿にチャレンジするよう促しました。実務と研究の両輪で技術力を高めることの重要性を伝えたのです。

2. 今日の学びと受験生へのアドバイス

 今日の経験を通じて、技術士には専門知識だけでなく、多様な利害関係者との調整能力、長期的視点での評価・判断力、そして常に新しい技術や概念を学び続ける姿勢が求められることを再確認しました。

 技術士試験の受験生の皆さんへ。技術的知識を深めることは重要ですが、それを実際のプロジェクトでどのように活用し、社会的課題の解決につなげるかという視点を持つことが大切です。日々の業務や学習の中で、技術的側面だけでなく、環境影響や地域との共生といった幅広い観点から考える習慣をつけてください。

 また、継続的な学習の重要性を忘れないでください。技術士になった後も、常に新しい知識や技術を吸収し続けることが、プロフェッショナルとしての責務です。特に、気候変動や社会のニーズの変化に対応するため、自分の専門分野だけでなく、関連分野の動向にも目を向けることが重要です。

 技術士として働く毎日は、新たな挑戦の連続です。しかし、その一つ一つが自身の成長につながり、社会に貢献する喜びを感じられる素晴らしい経験となります。皆さんも、この魅力的な世界に飛び込む準備を着実に進めてください。そして、技術を通じて社会に貢献するという技術士の使命を胸に、日々の研鑽に励んでください。


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小泉士郎&H|技術士(建設・総監部門)|口頭試験対策|セルフケア
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