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コンピテンシー日記|『建設部門:道路』技術士さんの日常(その3)


1. 地域密着型道路整備プロジェクトにおける技術士の役割

 今日は、地方都市における道路整備プロジェクトの現地調査と住民説明会がありました。このプロジェクトは、地域の活性化と安全性向上を目的とした生活道路の改善計画です。技術士として、地域のニーズと技術的な最適解のバランスを取ることが求められる重要な一日となりました。

①コミュニケーション、リーダーシップ

 朝から現地調査を行い、地域住民の方々と直接対話する機会がありました。高齢化が進む地域特有の課題として、歩道のバリアフリー化や交差点の安全性向上が強く求められていることがわかりました。
 午後の住民説明会では、様々な意見や要望が飛び交う中、私は技術士としての専門知識を活かしつつ、わかりやすい言葉で説明することに努めました。特に、交通量調査データに基づく渋滞緩和策や、ユニバーサルデザインを取り入れた歩道設計について、図表を用いて視覚的に説明しました。
 住民の方々の中には、工事による一時的な生活への影響を懸念する声もありました。これに対し、工事中の迂回路計画や騒音対策について丁寧に説明し、理解を求めました。また、地域の小学校の通学路に関する提案があり、その場で臨機応変に設計案の修正を検討するなど、柔軟な対応を心がけました。

②評価、マネジメント

 説明会後、プロジェクトチームとの振り返りミーティングを行いました。住民からの意見を踏まえ、当初の設計案の評価と見直しが必要となりました。
 私は、安全性、経済性、施工性、環境影響の4つの観点から、修正案の評価マトリックスを作成しました。特に、通学路の安全対策として提案された歩車分離型の道路設計については、追加コストと工期への影響を詳細に分析しました。
 結果として、一部区間での歩道拡幅と自転車レーンの設置を優先し、段階的に整備を進める計画に修正することで、予算内での最適な解決策を見出すことができました。

③技術者倫理

 プロジェクトの過程で、地域の小規模事業者から、工事による一時的な売上減少を懸念する声がありました。これに対し、単に法的基準を満たすだけでなく、地域経済への配慮も必要だと考えました。
 技術士として、工事スケジュールの最適化や段階的施工によるビジネス影響の最小化を提案しました。加えて、地域の魅力を高める景観設計や、地元企業の参画機会を増やすための分離発注方式の採用など、地域全体の利益を考慮した提案を行いました。
 これらの提案は短期的にはプロジェクトの複雑性を増しますが、長期的には地域との良好な関係構築につながり、持続可能な開発に貢献すると確信しています。

④継続研さん

 夜には、最新の道路維持管理技術に関するオンラインセミナーに参加しました。特に、AIを活用した舗装劣化予測システムや、IoTセンサーによる橋梁モニタリング技術について学びました。
 これらの技術は、今回のプロジェクトの維持管理計画に直接活用できる可能性があります。長期的な維持管理コストの削減と、予防保全による安全性向上に貢献できると考え、明日のチーム会議で共有し、検討を提案する予定です。

2. 今日の学びと受験生へのアドバイス

 今日の経験を通じて、技術士には高度な専門知識だけでなく、地域社会のニーズを理解し、多様な利害関係者とコミュニケーションを取りながら最適解を見出す能力が求められることを再認識しました。また、常に新しい技術動向をキャッチアップし、プロジェクトに活かしていく姿勢の重要性も痛感しました。
 
 技術士試験の受験生の皆さんへ。技術的な知識を深めることはもちろん重要ですが、それを実際の現場で活用し、社会に貢献する力を養うことが極めて重要です。可能な限り、実際のプロジェクトに参加し、現場の空気を肌で感じることをお勧めします。

 また、技術者倫理は机上の学習だけでは身につきません。日々の業務の中で、常に「この判断は社会にとって本当に正しいのか」を問い続けることが、真の技術プロフェッショナルへの道となります。

 技術士は、単なる技術者ではなく、社会と技術を橋渡しする重要な役割を担っています。その責任を自覚し、日々の研鑽を怠らず、社会に貢献し続ける姿勢を持ち続けることが、技術士としての真価を発揮することにつながるのです。


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小泉士郎🎈&H|技術士(建設・総監部門)|R7筆記試験対策|セルフケア
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