【R5機械部門:必須問題】Ⅰ-1「再現論文」/技術士第二次試験
【問題文】
2019年度の日本の一次エネルギーの約8割は化石燃料に依存しており、エネルギ一自給率は12%程度である。化石燃料への依存を低くすることでカーボンニュートラルの実現にも貢献することができ、 更にはエネルギー安全保障の観点においても、エネルギ一自給率を高めることは最重要課題の1つと考えられる。そしてエネルギーの自給率を今後高めていくためには、輸入化石燃料への依存率を現在よりも低くし、下図の資源エネルギー庁から提案されているようなエネルギーミックスを検討することも1つの案と考えられる。
そこで、地球環境を考えつつ日本の経済活動を今後持続していくためには、エネルギーの入手・確保・輸送・備蓄・転換・利用について検討していくことが必要と考えられる。
このような日本を取り巻くエネルギー環境を踏まえたうえで、以下の問いに答えよ。
(1)今後日本におけるエネルギー自給率を上げるため、技術者の立場から考えた場合にどのような課題が考えられるか、多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明確にたうえで、それぞれの課題内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を機械技術者として3つ示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行した結果、得られる成果とその波及効果を分析し、更に新たに生じる懸念事項への機械技術者としての対応策について述べよ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点について題意に即して述べよ。
(受講生さんの了解を得て、ここに掲載します。)
この再現論文の受講生さんの試験結果はC評価でした。
私の評価はBと考えましが、かなりCに近いと考えます。
私がB評価とした根拠を以下に示します。
・設問(1)では課題の説明に留まり、観点を読み取れない。
後述の設問(2)で最重要課題とする項目を、最後に記載したほうが設問(2)につながりやすい。
・設問(2)において、各解決策のタイトルと説明文の主語が重複しており、字数稼ぎに見えてしまうのがマイナスポイント。
・設問(3)では、解決策による成果とは波及効果の区別が読み取れない。
また、各項目番号1)、2)、3)につづき「●)」と表記していることに強い違和感がある。本設問で問われた「成果、波及効果、懸念事項」を区別していないと思われる。
・設問(4)は、何が技術者倫理で、何が社会の持続可能性の観点なのか理解しにくい。
B評価としましたが、評価根拠を書き出すと、やはりC評価かな?と考え直すようになりました。私の最終決断はC評価へ変更します。
標題の再現論文を以下に示しますので、みなさんもご一読いただき、改善点があればご指摘いただけませんか?
(noteの表示上、項目名を下線で表示できないので、太字で表示させます)
【再現論文】
1.日本のエネルギー自給率を上げる観点と課題
1)再生可能エネルギーの開発と普及
再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて環境に優しく、エネルギー自給率を高めることができる。しかし、再生可能エネルギーの開発には多額の資金が必要であり、技術的な課題も存在する。また、再生可能エネルギーの普及には、社会的な認知度の向上が必要である。
2)エネルギーの効率化
エネルギーの効率化により、エネルギーの使用量を減らすことができるが、省エネ技術の開発や、エネルギーの使用状況の把握が必要である。
3)エネルギーの多様化
エネルギーの多様化により、エネルギーの供給源を多様化することができる。エネルギーの多様化には、再生可能エネルギーの開発や、新しいエネルギー源の開発が必要である。
2.重要と考える課題とその解決策
前述した課題のうち、再生可能エネルギーの開発と普及が最も重要と考える。そのため、以下のような解決策が考えられる。
1)再生可能エネルギーの開発
再生可能エネルギーの開発には、政府や企業が積極的に投資することが必要である。また、再生可能エネルギーの開発には、技術的な課題があるため、技術者の研究開発が必要である。
2)再生可能エネルギーの普及
再生可能エネルギーの普及には、社会的な認知度の向上が必要である。また、再生可能エネルギーの普及には、政府や企業が積極的に投資する必要がある。
3)省エネ技術の開発
省エネ技術の開発により、エネルギーの使用量を減らすことができる。省エネ技術の開発には、技術者の研究開発が必要である。
3.解決策による成果と波及効果及び新たな懸念事項
1)再生可能エネルギーの開発
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの開発を進めることで、エネルギー自給率を上げることができる。
2)再生可能エネルギーの普及
再生可能エネルギーの普及によって、より多くの人々が再生可能エネルギーを利用することができる。
3)省エネ技術の開発
エネルギーの使用量を減らすことで、エネルギー自給率を上げることができる。省エネ技術の開発を進めることで、エネルギーの使用量を減らすことができる。
●新たな懸念事項
再生可能エネルギーの開発によって、自然環境に与える影響が懸念される場合がある。このような場合には、環境保護に配慮した開発を進めることが必要である。また、省エネ技術の開発によって、新たな技術や製品が生まれることがある。このような場合には、新たな技術や製品に対応するための研究開発を進めることが必要である。
4.技術者倫理、社会の持続可能性に必要な要件等
1)社会的責任
機械技術者は、社会的責任を果たすことが求められる。エネルギーの利用にあたり、環境保全や安全性に配慮することが必要である。また、エネルギーの利用によって生じる社会的影響も考慮する必要がある。
2)エネルギーの効率的利用
エネルギーの効率的な利用により、エネルギー消費量を削減することができる。機械技術者は、省エネ技術の開発、省エネ設備の導入などに取り組むことが求められる。
3)再生可能エネルギーの利用
再生可能エネルギーの利用により、化石燃料に依存しないエネルギー供給が可能となる。機械技術者は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー技術の開発・導入に取り組むことが求められる。
4)エネルギーの多様化
エネルギーの多様化により、エネルギー供給の安定化が図られる。機械技術者は、エネルギーの多様化に向けた技術開発や、新たなエネルギー源の開発に取り組むことが求められる。
以上