自然農勉強会へ
神戸市西区で自然農を実践されている中野信吾さん / Morning Dew Farmの勉強会に参加させていただきました。
中野さんの畑を訪れたのは二年半前にフィリピンの農家・農業関係者の訪問研修団に通訳として同行して以来、今回で二度目。
野菜作りを始められたばかりの方から実際に農業を営まれている方まで、幅広い年齢層、近隣から遠方の方まで多くの方が熱心に学ばれていました。
今回の勉強会テーマは苗の育て方、播種の仕方、鉢上げ方法、苗床作り等。
技術的なアドバイスだけでなく、なぜその作業をする必要があるのか、そのひと手間が後々どのように影響し、手を抜かないことが如何に大切であるかを丁寧に説明してくださり、さりげなく語られている言葉の中に、そうやなぁ、と何度も頷いてしまう内容や、忘れたらアカンなぁ、と思える珠玉のメッセージが詰まっており、自分の凝り固まった考え方にハッとさせられることもしばしば。
例えば、鉢上げ(種子を播いて育てた苗を苗床から鉢に植え替える作業)をする際、下に伸びる直根を切らぬように細心の注意を払って鉢に移すお手本を示しながら「伸び盛りの柔らかい根は子供と同じで、育つ勢いを止めたり、成長の芽を摘んでしまわないことが大事。伸び盛りの段階で受けるダメージは大きいから、小さい時は少し過保護かもしれないけど若い根は大切に扱い見守る」みたいなことをボソっとおっしゃる。
お米の苗床作りでは、種籾(たねもみ)の選定方法、1畝・1反など田圃の広さに応じた種籾分量の算出方法と最適分量を守ることの大切さを何度も説明し、人任せにせず、やっていることに対して自分で考え、聞いたことを実践し、過程と結果に責任を負うことに気付かせてくださる。
タネ(もみ)を平らに鎮圧した土の上に密にも疎にもならぬよう置き(ばら蒔くというよりも一定の間隔で配置し)柔らかくほぐした土を丁寧に被せ、
更にその上から土が湿度を保てるように、刈ったばかり青草を敷いて鎮圧。
「最初の段階がすごく大事。季節は戻らないからやり直しができない。失敗は出来ないから、必ずお米ができるという準備をして一回で必ず決める!という気構えでやる」などの覚悟や基本精神に至るまで、言葉を嚙み砕いて丁寧にご教示下さる中野さんは、自然農で農作物を「作る・生産する」農家というよりも、”命”を「育てる・継ぐ・繋げる」教育者という方がピッタリ。ご自身の貴重な経験と知識、哲学的なことまで共有してくださったお蔭で、収穫期前にも関わらず実り多い一日になりました。
燕が舞う空の下、鍬で土が削られて姿を現したオケラの慌てぶり、田圃になる前に健気に咲いてる蓮華たちなどを見て、ぽれぽれ気分にもなれた一日、中野さん夫婦、勉強会を教えて下さったヒデさん、参加されていた皆さんに感謝です。
今回も、最後までお読み下さりありがとうございました。