「ゴミ捨て場でハグをする男達」
靴磨き世界一周アフリカ編209日目
今日は街をプラプラ歩いていたら、
ゴミ捨て場を見つけた。
ちょっと中に入ってみるか。
試しに鼻から息を吸ったら、
ツンとす激痛が走ったかのような匂い。
目もショボショボする。
体に良くないな。
しかし、そんなゴミ捨て場に座って袋を広げて
ゴミの種類を仕分けている人達が数名いた。
「こうやってゴミを仕分けて、工場に
買い取ってもらってわずかなお金を
いただいてる」
と先日ムンバイで参加したツアーのガイドさん
が言っていた。
この方々がいるからリサイクルが回っているのだろう。
ゴミ山から出ようとした時、30代中盤
くらいの男性とすれ違った。
「お金をくれ」
とジェスチャーをされた。
私は一度通り過ぎたが、立ち止まって
振り返った。
自分があげられるものをあげようと思ったからだ。
「お金はあげられない。
でも、靴磨きならできる」
「はっ!?」
という顔をしていたが、興味がありそうだった。
しかしあまり英語は通じないようだ。
ジェスチャーで靴磨きを表現して、
「ノービジネス。ノーマネー OK」
と言ったら、
彼は履いてたサンダルを脱いで私に
手渡してきた。
伝わったようだ。
会話はほとんどしてないけど、
彼はジッと私がサンダルを磨くのを見ていた。
果たしてこの靴磨き、改、サンダル磨き
に何の意味があるのだろうか。
どうせまたこのサンダルもゴミ捨て場に
足を踏み入れたらすぐに汚れるだろう。
私のただの自己満足かもしれない。
でも、もしかしたら、何かの意味が後から
私の知らない所でついてくるかもしれない。
とにかく、この履き物に心を込めて磨こう。
このオイルを塗り込むと、少しは履き心地
は良くなるはずだ。
「終わりました」
という合図をして彼にサンダルを見せた。
少しだけ口角が上がった。
「マネー?」
と聞かれたので、
「ノー、ジャストシェイクハンズ」
〔お題は握手だ〕
と言って手を差し伸ばしたら、彼も手を出して
きて握手をした。
握手した後、彼の方から
「ハグをしよう」
とジェスチャーをしてきた。
私達はゴミ捨て場でハグをした。
意味なんて、最初から分かってること
ばかりではない。
意味不明なことを一生懸命やることが、
もしかしたら人生を豊かにしてくれるの
かもしれない。
少なくとも、私は彼とハグをした時に
心が暖かくなった。
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