「髪を切ってもらいました。」
靴磨き世界一周アジア編65日目
この旅が始まり2ヶ月経ち、一度も髪の毛を
切ってなかったのでボサボサになっていた。
このまま前みたいに括れるくらい伸ばすか。
海外でも定期的にカットして整えるか。
一度大学の時に岐阜県の散髪屋さんで切って
「金正日」みたいな髪型になってから私は知らない
理容師さんに切ってもらうのが怖いのだ。
#絶対散髪屋のおっさんも正日やんておもてた
あかんでしょ!
正日ヘアーで路上靴磨きしてたら
警察に連れてかれますよ。
「あいつ正日の影響受けてるかもしらん」
と思われて。
でもさ、「正日以外でお願いします」なんて
理容師さんに言えない。
髪の毛ボサボサ問題どうしようか。
そんな時に以前シドニーで出会った日本食
レストランを経営されてるコウスケさんが、
「ブリスベンに行くなら俺の親友が美容師
してるから尋ねるといいよ」と言ってヒロキさん
を紹介していただいた。
コウスケさんがオーストラリアに来た2005年
からほぼ一緒のタイミングで来て、職種は違えど
それぞれの道でお店を構えていた。
私はブリスベンに到着した次の日に
さっそくヒロキさんの美容院にお尋ねした。
髪型のプランが「正日以外の短め」だったので、
ほとんどノープランな私に今後の旅のことや
普段ワックスをつけないことなどを考慮して
施術を進めてくれた。
髪を切りながらヒロキさんの話も聞かせてもらった。
当時のオーストラリアの美容師の労働環境は
悪く、時給8ドルからのスタートだったそうだ。
#当時の高校生のバイト時給で16ドルとか
#今はそれなりの時給がもらえる代わりにかなり狭き門
それから17年経ち、今ではブリスベンで
従業員4人を抱えるオーナーさんになった。
「美容師さんをしていて楽しいことはなんですか?」
と質問した。
ヒロキさんが答えてくれた。
「メモリー〔思い出〕を共有できること。
常連になったお客さんは一年に数回来てくれる。
最近彼氏ができたことや、旅行に行ったこと、
それから子どもができたことや、その子どもが
保育園に行っていろんなことを学んでることなど。
来る度にお客さんの大切なメモリーを共有させて
もらえることが楽しい。」
美容師さんは一本の長いノンフィクションの
物語を聞ける立場にある人なんだなぁって思った。
もちろん、数ある美容師さんの中から
「この人に切ってもらい続けたい」て
思ってもらえるのは簡単ではないだろうが。
私も靴磨きトラベラーを引退した後は、
自分のお店を持って、気に入ってくれた
お客さんの物語を靴磨きしながら聴き続ける
ことが私のひっそりとした夢だ。
#みんな待ってるよ
かなりいい感じにカットしてくれた。
これまで私はあえて、あえてホームレス感を
出していたのだが、これはもうホームレスには
見えない。
多分ホームレスに提供しているフリーフードに
並んでも「お前はホームレスじゃねえだろう」て
断られるくらいカッコよく切ってもらった。
仕方がない。
もう今日で靴磨きホームレスを引退しよう
と思いブリスベンで2回目の路上靴磨きに出たのだが、、、
開始してすぐに「レベル高すぎるホームレス」
が45分くらい私の横にいた。
#なんでやねん
もうこれは側から見たら完全にレベル高すぎる
ホームレスとコラボ靴磨きしている光景だ。
「頼むからどこかへ行ってくれよ。」
と思っていたら、そのホームレスが口を開いた。
「なかなかお客さんこうへんなぁ」
、、、
お前のせいだよ!!
「どっか行ってくれよ」と言おうとしたその時、
レベル高すぎるホームレスは続けた。
「俺呼び込みするわぁ」と言ってお遍路さんの
杖みたいなのを持って精神統一しだした。
何をするのか恐る恐る見ていた。
そしたらお遍路さんの杖はなんと大きな笛で、
その笛で音を奏でようとしていた。
今まで見たこともない楽器。
もしかしたりとんでもない音色が聴けるかもしれない。
私の期待値はかなり上がっていた。
、、、
ス〜
、、、
#すかしっぺみたいな音
音小さすぎて死ぬほど笑った。
レベル高すぎるホームレスは「また来るわ」
と言ってどこかへ行った。
#なんしにおってん
今日もダメかなぁと思ったけど、その後は
連続で靴磨きをお願いしてくれる人がいて、
2足磨かせてもらった。
なんやかんやで今日も楽しい1日だった。