「クラウンタワーメルボルン」
靴磨き世界一周アジア編36日目
高級車が次々に建物の中に入っていく。
建物の中は全体的に上品なスカイブルーの照明で
照らされており、周りの高級ブランドの金色の看板
がどれも宝石のように見える。
「ここは竜宮城なのか。」
そう感じるような雰囲気だ。
あかんあかん。
こんなオドオドしていては、田舎者だと思われる。
ついにクラウンタワーメルボルンへ宿泊する日を迎えた。
俺は若き実業家だ!
自分がパク・セロイだと思って堂々と振る舞おう。
#クラウンタワーメルボルンは長屋だ
#突然の梨泰院クラス
落ち着いて、まずはチェックインをするために
レセプションに向かった。
「予約している者ですけど」と受付スタッフに
伝えると、彼女は一瞬驚いた顔をして対応にあたった。
なんだ今の一瞬の間は?
この時間にレセプションに来たら9割9分
宿泊客だろう。
もしかしてオドオドしてる感が出てるのか?
落ち着け。
俺はパクセロイだ。
若きやり手実業家のオーラを出せ!
受付スタッフに指示されるまま、チェックインの
手続きを進める。
それにしても周りから視線を感じる。
俺、もしかして緊張してるのバレてる。
落ち着け、俺はセロイだ。
きっと俺が若き実業家オーラを出してるから
みんな見てるんだよ。
そう言い聞かせていたが、私は鏡に映った自分
を見てなぜ周りからこんなに不審な目で見られて
いるのか分かった。
"バックパック背負っとる!!"
みんな高級ブランドのキャリーケースとか
上等そうな革の鞄を抱えてるのに、わたしだけ
いかにも旅人感満載のバックパック背負っとる!!
は、恥ずい!
私は旅の用具がぎっしり入ったバックパックの重さを
感じながら、チェックインを進めた。
私の部屋は22階。
エグゼクティブスイートルームだ。
部屋に入ると、メルボルン中の景色が
上から一望できる。
そしてテーブルの上にはシャンパンが
近々に冷えて置いてあった。
他にも高級そうなお酒がサイドテーブル
の上に並べられている。
俺、酒、飲めねぇ。。。
でも、せっかくだしちょっとだけ飲もうかなと思った。
やっぱりやめた。
この景色をアルコールで歪めたくない。
「この景色」を、「この体験」を「この感情」を
はっきりと自分の目と心に焼き付けておきたい。
部屋からフリンダーズ・ストリート駅が見えた。
ここに泊まるために9日間路上靴磨きをした場所だ。
周りが近代的な高層ビルが立ち並ぶなか、
あの建物だけ歴史を感じさせるような、
別の世界からタイムスリップしたような、
独特の光を放ちながらどっしりと佇んでいる。
一昨日まであそこでメルボルンを見ていたんだよな。
一番低い所から、メルボルンを見ていた。
靴を磨いて、喜んでもらって、お金をいただく度に
あの場所からクラウンタワーメルボルンの方を眺めた。
「一番高い所からメルボルンを見落としてやるぞ」って。
その夢が、今現在叶っている。
今日は美味しいディナーも食べたし、
宿泊客しか行けないプールで泳いだし、
カジノにも行った。
#カジノは7分で100ドルすって終了
#最短記録
どれも楽しかったし、どれも優越感に浸ったし、
どれもいい思い出になるだろう。
でも、真っ暗の部屋の中からただボーと
メルボルンを眺めている時間が一番豊かに感じる。
俺は夢を叶えたぞーって。
「夢を叶える"かきくけこ"」という言葉を
かつて靴を磨いた経営者の方から教わった。
か 夢を書く
き 期日を決める
く 口に出す
け 決断する
こ 行動に移す。
クラウンタワーメルボルンにさまよって
入った2週間前。
「俺ここに泊まりたい」ていう夢ができた。
ホームレス界初のクラウンタワーメルボルン
に泊まりたい。
その夢を書いて、ざっくりだけど期日を決めて、
会う人に話して、絶対に達成するまでここを離れん
て決断して、お金を払って〔行動〕一つの
夢を叶えることができた。
これから旅をしていく中で、その時々で
新しい夢ができていくのだろう。
「一つ一つ、その夢から折り合いをつけずに、
叶えていく人生を、歩んでいこう!!」
って、忘れないようにここに書き記しておきます。
まだクラウンタワーメルボルンを出るまで半日ある。
その間になんかおもろいこと起きたらいいね。
きっと何か起こるよ。
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