綿毛
綿毛が飛んでいた。
虫みたいに。
綿毛って風情のあるものだとおもっていた。
たんぽぽの綿毛は春の季語らしいけど、今飛んでいるよく分からない花の綿毛は、果たして美しいのだろうかと首を傾げる。
毎朝、通勤のために歩いて出社している私は、会社に着く頃には汗だくで、その汗だくの状態で沢山綿毛が舞っていたものだから、私は全力で逃げた。
これが秋の植物なら、まだまだ暑いこの季節に、飛んでいるこの白い塊が舞うことが異常なのかどうなのか分からない。
だけど、ギラギラと輝く太陽と、綿毛がミスマッチすぎて、夏に降る雪のように不自然だった。
天気が荒れて、雹が降った。
綿毛は飛ばなくなった。
木が折れていた。
天気が荒れることが多くて、怖い時がいっぱいだけど、変わった雲に毎日出会えることが楽しみだったりする。
積乱雲が形を変えて、大きく大きくなっていって、
雲の中でピカピカしているのは、見ている限りではかっこいい。
だけど、雷はいくつになっても、怖いものだ。
いつ崩れ落ちるか分からないみたいな、崖っぷちな天気が多くて、私みたいな天気だなって。
五分経っただけで、雲は形が変わる。
なのに私は、明日も同じ平和が来ると、当たり前に信じている。
そんな矛盾に、気づきもしないで。
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