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「子どもの声を聴く」アドボカシーセンター福岡の取り組み

今回のNewsletter vol.20「まちの子どもの声をきくことができる社会に」と題し、子どもアドボカシーの取り組みを特集しております。 

福岡で活動する「子どもアドボカシーセンター福岡」の取り組みを取材しました。
 
子どもアドボカシーセンター福岡は、福岡市の社会的養護施設(児童養護施設、里親家庭、一時保護所、障害児入所施設)で暮らす子どもの声を聴き、時には子どもの意見を大人へ代弁する取り組みを行っています。
 
また、社会的養護にとどまらず、福岡市内で暮らす地域・学校で「子どもの権利」を伝えるための活動をしています。


子どもアドボカシーセンター福岡の取り組む事業

①社会的養護(里親家庭/児童養護施設/障害児入所施設/一時保護所)で暮らす子どもを対象とした訪問アドボカシー事業

福岡市から委託を受け、社会的養護の下で暮らす子どもたちの声を聴く取り組みを行っています。また、 アドボケイトの養成・認定も子どもアドボカシーセンター福岡にて運営しています。
 
現在、アドボケイトの登録者数は51名で、ほとんどの方が他にお仕事をしながら週に1回程度活動されているとのことです。

子どもアドボカシーセンター福岡「養成講座」の様子
(提供:子どもアドボカシーセンター福岡)

福岡市内の3つの児童養護施設を週1回、2名体制で定期的に訪問しています。1回1時間から1時間半程度の訪問です。各児童養護施設に付随する地域小規模の児童養護施設には隔週で、月に2回訪問しています。
 
里親家庭への訪問は、最初にご挨拶にうかがったあと、子どもからのリクエストがあれば個別に実施することになっているのだそう。
 
里親家庭の活動は、今年度もう少し広げていきたいと、子どもアドボカシーセンター福岡の理事長・安孫子さんは話してくださいました。

一方、乳児院と母子生活施設には、まだ接点が持てていないとのことでした。

特に乳児院については、早い段階で職員向けに研修を行い、アドボカシーのことを知ってもらうこと、日常的に子どもと対話してもらえるように持っていきたい、と話してくださっています。

乳児院とは
乳児院は、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設です。乳幼児の基本的な養育機能に加え、被虐待児・病児・障害児などに対応できる専門的養育機能を持ちます。
 
乳児院の在所期間は、1か月未満が6.5%、6か月未満を含めると25.7%となっています。短期の利用は、子育て支援の役割であり、長期の在所では、乳幼児の養育のみならず、保護者支援、退所後のアフターケアを含む親子関係再構築支援の役割が重要となります。
 
児童相談所の一時保護所は、乳児への対応ができない場合が多いことから、乳児については乳児院が児童相談所から一時保護委託を受け、アセスメントを含め、実質的に一時保護機能を担っています。
 
また、乳児院は、地域の育児相談や、ショートステイ等の子育て支援機能を持っています。

引用:こども家庭庁「社会的養護の施設等について ー 2 乳児院の概要」
https://www.cfa.go.jp/policies/shakaiteki-yougo/shisetsu-gaiyou/

母子生活支援施設とは
母子生活支援施設は、従来は、生活に困窮する母子家庭に住む場所を提供する施設であり、「母子寮」の名称でしたが、平成9年の児童福祉法改正で、施設の目的に「入所者の自立の促進のためにその生活を支援すること」を追加し、名称も変更されました。
 
近年では、DV被害者(入所理由が配偶者からの暴力)が入所者の50.7%を占めています。また、精神障害や知的障害のある母や、発達障害など障害のあるこどもも増加しています。「母子が一緒に生活しつつ、共に支援を受けることができる唯一の児童福祉施設」という特性を活かし、保護と自立支援の機能の充実が求められています。

引用:こども家庭庁「社会的養護の施設等について ー 5 母子生活支援施設の概要」
https://www.cfa.go.jp/policies/shakaiteki-yougo/shisetsu-gaiyou/

②地域で暮らす子どもたちに、子どもの意見表明権を伝える「地域事業」

社会的養護の枠組みから拡げ、地域で暮らす子ども※を対象に、小中学校やフリースクール、公民館、子ども食堂などでワークショップを行い、子どもが意見を言う権利を知ってもらうための啓蒙・普及活動を行っています。
 
学校でのアドボカシーの取り組みは、先生は参加せずアドボケイトがファシリテートするため、授業として実施するのは難しく、学校の昼休みの時間を使って実施しています。

“学校の先生方もとても悩んでいらっしゃるようです。
 
いじめ、自殺の問題もある。「子どもたちが何を考えているのかわからない」という声をいただくことも。
 
だから私たちは、子どもたちに「子どもの権利」を伝えて、子どもたちが何を考えているのか、子ども自身が言えるような体験活動を提案しています。福岡市議会で市議の方にも取り上げていただき、少しずつ行政や教育委員会も一緒になって動いている状況です。”

と、子どもアドボカシーセンター福岡の事務局長・朝日さんは話してくださいました。

子どもアドボカシーセンター福岡 事務局長/アドボケイト 朝日響さん

地域や学校での活動は、子どもアドボカシーセンター福岡が制作した「きかせてジャーニー」というキットを活用しながら、ワークショップ形式でグループワークを実施しているとのこと。

最初、子どもたちは緊張しているようですが、ワークを進めていくうちに、緊張がほぐれてきたところで「子どもの意見表明権」について伝えているそうです。


今回は、「子どもアドボカシーセンター福岡」の活動内容についてご紹介させていただきました。

次回は、地域・学校で活用している「きかせてジャーニー」のキットについて、ご紹介いたします。


関連情報

子どもアドボカシーセンター福岡

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地域・学校で活動している子どもの権利ワークショップ「きかせてジャーニー」

「きかせてジャーニー」のご購入はこちらから


今回、Newsletter vol.20を制作するにあたり、企業・個人の方々より協賛をいただいております。(順不同)

一般社団法人ソーシャルビジネスバンク 様

萬年順子 様

オリエント・アセット・マネジメント株式会社 様

オリエント・アセット・マネジメント株式会社 様 

株式会社サエキジャパン 様

株式会社サエキジャパン 様

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Newsletter vol.20 「まちの子どもの声をきくことができる社会に」は、ご寄付をいただいた方に郵送でお送りする予定です。(現在制作中です)

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【 Credit 】
・Photo by:Ryuto Sato( https://www.instagram.com/ryutosanto/

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