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バンドis人生‐フォーリミ武道館を観て‐

私が04 Limited Sazabysと出会ったのは2023年2月のことだ。その月、私が世界で一番大好きなバンドの世界一のギタリストが天国に旅立ってしまった。私はその時、生きる意味を完全に見失い、路頭に迷っていた。もうわたしも死んでしまおうと感じていた。その日、フォーリミのボーカルであるGENさんがツイッターに追悼文とともに載せていたのが「Honey」という楽曲のミュージックビデオだった。

悲しまなくていいよ ここで会えない距離からギリギリ
もうなんだって良いよ どうせ結局ずっと君が好き

Honey/04 Limited Sazabys

そのツイートに貼ってあったリンクを開き、この歌詞を聞いた瞬間、私の心の中にぐるぐるとたまっていたマイナスな感情の渦の正体が分かったようだった。もう彼はいない。会えない距離にいる。でも記憶の中で彼を見つけている限りみんなの、私の記憶の中で彼は生き続けるから悲しまなくたっていい。どうせ結局ずっと彼のことが大好きだから。
あの日から、彼のことを思い出してどうしようもなく悲しくなった時、この曲をいつも再生するようになった。自分にとってのお守りのような曲になった。
それから私はフォーリミの曲を聞き始めるようになった。彼らの生み出す音楽は実に軽快でロックで、すさんだ私の心を洗ってくれた。かと思えばHoneyのように、お守りのように音楽で寄り添ってくれた。そして彼らがステージの外で見せるコミカルな一面にも惹かれた。
彼らのライブを見てみたい。彼らの15年間の集大成をこの目で見たい。私は彼らの15周年を祝う日本武道館公演「THE BAND OF LIFE」に足を運んだ。
当然のことながら周りにいるのはみな同じバンドを愛して同じ場所に駆け付けた仲間たちである。
ライブ冒頭ではメンバーの幼少期を再現した子役たちによるショートドラマが始まった。人生ゲームを模したそのゲームの中では、私が知らない過去のフォーリミの姿が映し出された。もっと早く出会っていたかったと痛感する中、一曲目のmonolithが始まった。会場のボルテージが一気に高まった。YouTubeで見ていたライブ映像では、主にコロナ禍前の会場でダイバーが続出しているライブと、コロナ禍で声が出せない中のライブの二種類があったため、着席指定かつ歓声ありのフォーリミのライブはかなり珍しいものなのではないかと思った。そしてmonolithを聞いた瞬間、ライブハウスで人の上にダイブする人たちの気持ちがよく分かった。ライブ会場で聞いたmonolithの素晴らしさは完全に音源を超越していた。体が勝手に動くのも無理はないと思った。
まず第一に、KOUHEIさんのドラムの圧倒的なうまさに大変驚かされた。いつもいじられていたり毒舌になったりしている彼だが、想像の100倍くらいドラムがうまかった。
そしてギターのHIROKAZさんとRYU-TAさんは、動画で見るよりも実物のほうがかなりかっこよかった。そして言わずもがなギターの安定的なうまさにほれぼれさせられた。
GENさんは、VTRのなかの10年前の映像と全く見た目が変わっていなかった。そして女のわたしでも高くてうまく歌えない曲を、ベースをかき鳴らしながら難なく歌う様子は、バンドのフロントマンとしてのあふれ出る才能を感じざるを得なかった。
また、お客さんのノリの良さにも驚いた。誰しもが皆目の前の音楽に身を任せ思い思いに空間全体を味わっているのが感じられた。
アルバム「Harvest」のなかでも特に好きなkikiやJustを聞けたのはうれしかったし、最新アルバム「Re-Birth」の楽曲ではストリングス隊とともに演奏したり、フレデリックをはじめとしたアレンジ担当の音楽仲間に敬意と愛をもって演奏したりしていたのを見て、ますますフォーリミというバンドの無限の可能性を受け取ったし、愛が深まった。
Now here,No whereは歌詞が良すぎるのが生で聞くと何倍にも感じられて泣いた。midnight cruisingは光の演出が美しすぎて言葉を失った。アンコールのTerminalからの、代表曲であるswimの流れが完璧すぎてまたしても泣いた。
演奏が終わり、メンバーがはけていく様子を見ながら私は言葉で表しきれない満足感を覚えた。15周年を迎えた彼らのスタイルは「BAND OF LIFE」を体現していた。まごうことなきロックバンドの姿をこの目に焼き付けることができた。
ただ残念なことに出会いの曲である「Honey」を聞くことが叶わなかったので、1月のツアーも絶対当てたいし、go!go!vanillas主催の幕張メッセで行われる対バンライブにも行けることになったので、そこでもフォーリミのライブを観れるかと思うと非常に待ち遠しい。とにかく、誰かの人生の根幹を支えうるロックバンドのあるべき姿を見られてとてもよかった。これからも彼らの音楽は私のお守りであり続けるだろうし、その姿をずっと見届けられればと思う。
#04limitedsazabys

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