言葉によって人は生かされ、殺される
「言葉」は人を生かし、殺すものだ。
もっと慎重に扱わないといけない。それなのに、心無い言葉が飛び交っている。
私もきっと周りの人の心を殺してきた一人だ。だからこそ、今はとても気をつけている。
大学生の時、アルバイトをしていたお店の店長から「あなたの言葉は鋭い。大人になっても正直で素直なのはとても素敵なことだけれど、時に人の心を傷つけてしまうことがあるかもしれない。でも、言葉を選ぶだけで変わるんだよ。言葉を選ぶってことをして損することはないはずだから気が向いたらちょっと考えてみてね」と言われたことがある。
その時、私はピンと来ず、具体的に聞いてみた。
「あなたから『嫌い』とか『苦手』って言葉を聞く気がする。『嫌い』も『苦手』はある特定のことに対して言っているのは理解しているけれど、言われた人はなんとなく拒絶されている気分になる。『好きじゃない』とか『得意じゃない』に変換するだけで、『好き』とか『得意』っていうポジティブな言葉が入っているから言葉が持つ強さが和らぐと思っている」
ハッとさせられた。実際に「嫌い」から「好きじゃない」に変換したところで、そこまで大差はないかもしれない。
ただ、私は文学部で日本語学などを勉強しながらこういったことに気づけていなかったし、考えたこともなかったんだなと。今まで何度も言葉で傷つき、傷つけていたのに。
このときの店長の言葉は、「言葉」というものがどれだけの力を持ち、影響をもたらすのかについて考えるきっかけになった。
今、私は実際に職場で心無い「言葉」に傷ついている。
職場の人間のある言葉で自信を失い、今まで大好きで得意だと思っていたことが震えるほど怖くなっている。
それほど「言葉」は重いものだ。
言葉を選んだり言い回しを変えれば、救うことも育てることも生かすこともできると思う。
しかし、現状では自分の心を強く育てる以外解決策がない。職場の人間は避けられないからだ。
私が繊細すぎるのも問題だが、だからこそ「言葉」の扱いに気をつけていくことができる。
今後、私が指導する立場になることもあるだろう。その時は、その人が今の私にならないようにしたい。