ゲーム体験版「屍喰らいの冒険メシ」のはなし
※こちらは体験版のレビューになります。製品版とは異なる可能性がありますので、ご了承ください。
ダンジョンの中で遭難してしまった冒険者が、選り好みせず食べられるものは何でも食べながら脱出を目指すこのゲーム。
物語の序盤でいきなりハエの姿をしたモンスターの死骸を食べることを迫られ、選択肢でそれを拒否するとそのままゲームオーバー。すぐさまスタッフロールが流れはじめるという、なかなか衝撃的な導入の作品だ。
仕方がないので死骸を食べることを受け入れると、その手足の大部分にはウジ虫が湧いており、その気持ち悪さから思わず主人公は吐き出してしまう……と、そういう特殊な性癖の人にはものすごく刺さるかもしれない描写が続く。
だが安心してほしい。そういった映像が苦手な人のために、ゲーム開始してすぐの選択肢でグロテスクな描写を抑える設定に変えることもできる。ただしこの記事では、グロテスク規制はナシの状態でプレイした場合を想定している。
―何でも食べる!仲間の死体も食べられる!
基本システムは3Dのダンジョン探索ゲームで、戦闘に入るとシミュレーションRPG方式に切り替わる。
この作品が面白いのは“何でも食べられる”というコンセプトのもと、倒したモンスターの死骸を戦闘中に食べられることだ。そうすることでHPやカロリー、水分の補給ができる。そして食べられる対象はモンスターだけでなく、戦闘不能になってしまった仲間キャラクターたちにも及ぶ。
また失敗した料理や腐った食材を敵にぶつけることで、ダメージやデバフを与えることも可能になっている。とにかく食材や料理をさまざまな用途で活用していくゲームだ。
―リソース管理の煩雑さ
サバイバルゲームにありがちな、リソース管理というのがこのゲームにもある。しかも、管理しなければならない項目がかなり多い。ざっと分かっただけでも、
・HP
・水分
・カロリー
・食材の鮮度
・装備の耐久値(武器だけでなく防具にもある)
・持ち物の重量制限
・矢の残弾(武器が弓の場合のみ)
とこれだけある。装備の耐久値は武器だけでなく防具にもあるのだが、防具は頭・体・アクセサリーが二つ、と全部で4箇所の管理が必要だ。耐久値を回復させる修理道具はあるものの、これが最大で4キャラクターぶん面倒を見なければならないとなると、なかなか大変である。
さらに問題なのが、拠点に倉庫のような施設がないことだ。
このゲームにはハクスラの要素があるので、装備や素材などをとにかく拾い集めることになる。しかしそれを収納しておく倉庫のようなものはないので、常にすべてを自分が持ち歩くことになる。ただしそうなると上記のような重量制限に引っかかるのが問題で、重たいものを引きずって動作の遅くなったキャラクターを操作しなければいけなくなることもしばしば。
もちろんそれは体験版の範囲だけの話で、製品版をさらに進めていけば解決する問題なのかもしれないが。むしろそうなって欲しいと願っている。
―拠点の拡張要素がない
拠点に倉庫がないというのは前述したが、そもそもこの拠点というのがあまりにも味気なさすぎる場所なのである。なにか施設を建てられるわけでもなし、ただ休憩と食事のためだけに集まるポイントという印象が強すぎる。
仲間キャラクターに料理を食べさせるにしても、みんなで和気あいあいと食事をしているような描写もなく、ただ淡々と出された料理を一人で食べているような感じだ。
仲間が四人もいるのに、彼らは会話もせずただボーッと焚き火を眺め続けている。これを会話のいらない居心地の良い関係と見るか、それとも。
―ストーリーは薄味
これは人によって求めるものが違うと思われるが、このゲームにおいてはストーリーにはあまり重きを置いていないように見える。
ただ黙々とダンジョンに潜り、強い装備を集めて敵を倒す。そういったゲーム性を求める人にはピッタリの作品だろう。逆に言えば、しっかりとした物語性を求める人には向いていないということだ。
BGMが控えめというのもあって、かなり淡々とした印象を受ける。ある意味で非常に現実主義的な、サバイバルなんてこんなものだと言われたら確かにそうかもしれない。
とはいえ、私はこういった地味で面倒なゲームも好みであるので、製品版にも期待したい。