食べ物から愛を感じる
毎日毎日、次から次へと仕事が押し寄せる。
終わらせても終わらせても、また別のものが締め切りを急かしながら近づいてくる。
山が一つだけだって滞りなく終わらせるのって大変。
なのにここ1カ月足らずで少なくとも6つはある。
それプラス通常業務、そしてさらに追加された、今年初めての業務まで。
正直、心も体もいっぱいいっぱいだった。
でも逃げずに頑張った。
何とか、ちゃんと形にして終わらせた。
山の一つが終わり、私はついに限界を迎えた。
ただでさえ、ワクチン接種の副反応で熱が出たり痛みがあったりと本調子じゃない日々。そこをおして仕事を進め、頭も体も神経も同時に使いまくった末、ついに力が抜けてしまった。
誰にも言わなかったけど、家に帰ったらちょっぴり豪勢な食べ物やお酒で自分をねぎらいたいとひそかに思っていた。
そして帰宅。
食卓には地元民でもしょっちゅうは並ばない前沢牛と、やはり地元のワイナリーでしか買えない限定のおいしいワインが用意されていた。
家族には私がこんなにもヘロヘロになるほど仕事頑張ったなんて一言も言ってない。ましてや、「今夜はご褒美においしいご飯が食べたい」なんてリクエストも一切していない。
それなのに、だ。
言わずとも何か感じ取ってくれたのか。
「たまにはいいじゃない。おいしいもの食べて元気出しましょ」って用意してくれた。
うれしくて、そしてまさに以心伝心な感じがちょっぴりくすぐったくて。
ここぞとばかり、しっかりサシの入った前沢牛をすき焼きにしてたーんまり食べた。ワインもぐいっと飲んで、心地よいほろよいを楽しんだ。
家族ってありがたいな。
親の愛ってありがたいな。
そうじんわりと感じながら、
私もこれから家族を作るなら、そんな関係でありたいなって思った。