地球が丸くて助かった。いや、「地球が丸い」という知識を持っていて助かった。地平線かはたまた水平線へと身を投げ出すかもしれない。
無限に湧き出、無限に垂れ流されている海水の仕組みを知りながら息絶えることにならずに済んだ。

昼。光にピリピリと見つめられ、その発生源に思いを馳せる。独りぼっちで光り続けていて寂しくないのだろうか。寂しいからこそ光るのだろう。

夜。光にチラチラ盗み見され、その発生源と反射物に思いを馳せる。光り続ける独りぼっちとその光を借りて輝く独りぼっち。後者は前者へ憧憬を、前者は後者へ怒りを抱いている。

深夜。生き物のほとんどは活動を休止し、明日という不確定な未来に備えている。

明日とは果たして本当にやってくるのか。
我々が向かっているのではないか。
休息しながら向かっている、不可思議さに頭を抱えている。
こうして頭を抱えている今も、私は明日に向かっている。信じられない!
信じられない!と嘆くその瞬間でさえも。

朝。深夜の思想は見た夢とともに空中へ霧散し昨日と同じような昼、夜、深夜を過ごすことを考え、走り出したくなる。しかし、走り出すことはしない。なぜなら「地球が丸いから」。
どこに逃走するというのか。無駄だ。
闘争する勇気は無い。自分と戦いたくない。

こうして日々が繰り返され、気付かぬ間に年老いて死んでいく人々が、私のような人々が、どれだけいるのだろう。

「地球が丸い」ことを知らない人々はどこへ走り出すのだろう。逃走の先にその人々は救われるのだろうか。見慣れた天井を見つめ、今日に蓋をした。思い出さないように。思い出してもこの思考が腐っているように。と、願いを込めて。

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