日記
6月23日(木)晴れときどき雨、強風
良い夜。言いよる。カエルと虫が出す音に包まれたかと思えば、風がそれらを吹き飛ばす。
良い夜。電灯に集まる音を出せない虫たち。習性を利用され、断末魔も電圧に掻き消される。
なぜ月は2つ無いのか。なぜ1つなのか。
卵だってたまに黄身が2つあるんだから、たまには2つあってもいいのに。
満天の星空を横切る龍が居る。長い。本当に長い。頭も尾も見たことがない。隣の三ノ上さんは見たことがあるらしい。あれは、嘘をついてる顔だった。
ニュースで龍の背中に道を作る計画が取り上げられていた。陸も海も空も境を作った挙句、空にいる生き物ですら、山分けにしようなんておったまげた。キャスターも少し笑っているような気がした。
過去の人々が架空の生き物として作り上げた龍には''逆鱗''と呼ばれる、弱点があるらしい。しかし、進化の視点から考えるとあの空を飛んでいる龍には無いだろう。生存のデメリットでしかない。あれに戦いを挑まんとする人間も、欲望というデメリットに呑まれたのだろう。龍には無いものを持っている、我々のメリットであると前向きに考えよう。
龍の話はここまでだ。どうせ人間にどうこうできる存在ではないのだ。話の種になってくれるだけでありがたい。
今日は昼から砂嵐が頻繁に起きた。梅雨入り前だと言うのに体表がカサカサだ。砂埃が車に張り付いて嫌になる。水は蒸発し雨になって循環するが、この砂は?いつの間にか消え、いつの間にか積もっている。風の力で戻ると仮定してどこに戻る?もとあった場所とは?思考が捗った。調べてみると存外シンプル。回収業者がいるらしい。輸送機に砂を積み、砂漠へ返しているのだそうだ。風速から管轄地域へ飛散した砂の重量を計算できるスパコンもあるらしい。いつか見てみたい。
眠くなってきた。窓辺のコウモリたちはこれから狩りに行くらしい。枕にしているダンゴムシたちも早く寝ろと言わんばかりに丸まっている。おやすみ。明日は2つ並んだ月が見れるといいな。
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