喧嘩オーライ

「風船ガム膨らませるの巧いんだね」

「うん。まあ、口内でガム彫刻できる程じゃないけど」

「僕さ、サクランボの枝、口の中で結べるんだけど、どっちが器用か勝負しない？」

「どうやって？」

「それは、……むぅ」

「それならこっちの勝ちな」

「何でよ」

「キス誘うのに不器用が過ぎるから」

「なっ！　ああそう、逃げるんだ。負けるのが怖いんだ？」

「は！？　逃げねえし！　怖かねえよ。そこまで言うならやってやんよ」

「掛かって来いや！　その腰砕いて立てなくしてやるから」

「そっちこそ覚悟しろよな。その自信と威勢、風船みたいに弾けさせてやんよ」

「……」

「……」

「……」

「……」

「「……」」