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「地球儀をライトで照らす」 「光あれ!」 「闇一色の世界に昼が灯る。西の縁が朝で東の縁が夕だ」 「じゃあ縁全体は朝焼け夕焼けで赤く?」 「それで地表が染まるのがモルゲンロートとアーベントロート」 「赤富士!」 「一方、南北の縁は明暮渾淆の謎焼けに」 「謎富士!」 「うんそれは違うよ?」
「炊煙の立たぬ自領を目の当たりにした王は民の餓えを知り、徴税を止めた」 「暴動起きないの?」 「起こる。民が富む一方で王宮は荒んだ。王は民の炊煙を喜び、免税を延長する」 「?!」 「暴動は徴税再開で起きた」 「!」 「押し掛けた民衆は進んで王宮を修理した」 「振り込めない詐欺の末路だ」
「連休どうだった?」 「もちゴー・ワーキングよ。観光業舐めんな学生」 「こちとら終日課題と蜜月だ社会人」 「で、あいつはベッドで延長戦だあ? 黄金体験しっぽりかよ」 「いや、気圧に弄ばれて虫の息だと」 「通知の絶賛面会謝絶ぐったりの意味!」 「……また遊びに行こう。三人でさ」 「だな」
「実はですね、好きな人ができました!」 「まあ。つい昨日まで、もう恋なんてしないなんて宣ってた口が。何と短い春休みだこと」 「ふふん。短くて良い春休みもあるのです。何と青い空だこと」 「その青さ、正直ちょっと羨ましいわ」 「あげないよ?」 「いらないよ」 「少しは欲しがれよ」 「嫌よ」
「梅の実で青酸中毒死するには、最低でも百個一度に食べないと」 「殺害トリックには無理があるか。なら生薬の烏梅に肖って、一袋百粒に三百個分のエキスを抽出したサプリ『天神祟梅丹』って設定は?」 「三十粒でも無茶」 「梅で毒殺、梅毒による犯行。良いと思ったんだけどな」 「梅毒なら病死だよ」