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寝たきりだって社会貢献
先日ついに、生まれてはじめて腰のあたりまで伸ばした(というか、伸びた)髪の毛を切った。
ヘアドネーションをするためだ。
* * * * *
2年前の冬、体調がものすごく悪化し、ほとんど動けず半寝たきりみたいな状態になった。庭に出るのも精一杯で、もちろん美容院になんて行けず、それ以来、髪は伸ばしっぱなしだった。
しんどくてただ横になっているだけの毎日。
苦しくて、もどかしくて、情けなかった。
でも、ただ寝てるだけでも、勝手に髪は伸びるし爪も伸びる。
あまりのしんどさに私の心は消耗して抜け殻のようになっていたけど、私の体は生きてるんやな、生きようとしているんやな、と布団の中でぼんやりと思った。
「何にもしてへんのに髪だけは無駄に伸びる」
恨めしそうにそうこぼした私に、母が言った。
「ほんならもうドネーションしたら?」
母、グッドアイディア!
寝ているだけで何もできない、周りに迷惑かけるばっかりで何の役にも立たない…虚しく思っていた私は、この一言で心がパッと明るくなった。
パーマもカラーもアイロンも何にもしていない私の素髪はドネーションするのにぴったりだ。
「私は、髪を必要としている誰かの為に伸ばしているんだ!」と思うことにした。
たとえ本当のところは、切りたくても切りに行けない、だから伸びているだけ、なのだとしても。
髪を切る前日の夜、いつもよりも丁寧に洗髪した。なんだか愛おしさまで感じてきて、そんなことは初めてで、自然と頬がゆるんだ。
髪は死んだ細胞だって言うけど、苦楽を共にした大切な私の一部。(苦>楽、かな)
その一部が誰かの一部になるのかもしれない、と思うと、不思議な気持ちだった。
当日の体調は、緊張のせいもあってイマイチだったけど、何とか気持ちを奮い立たせて、一時間の美容室を耐えた。
ばっさりショートにすると、頭だけでなくて心も、そして不思議と体調も少し楽になった!
* * * * *
本当は、私は何にも出来ない・役に立たない、って自分を責めたりする必要なんて無いというのは、頭では分かっている。
だって、考えてみれば、ただ生きているというだけでもすごいことだし。
でも、いわゆる「貢献感」が欲しかったんだなぁ。
もし私みたいに無力感に苛まれている人がいたら、そしてもし髪があるなら(※)、ヘアドネーションしてみませんか。
あなたは、ただ生きてるだけで、実際問題、誰かの・何かの役に立つんです。
だから、自信を持って、生きてて大丈夫なんです。
※ウイッグを作れるほど量が無かったり、髪の状態によってはウイッグとしては使えないケースもあるようですが、ヘアカラーのサンプル用等に使ってもらえたりもするみたいです。詳しくは各事業者のホームページ等をご確認ください。