私の銭湯色彩学
執筆者:上野蘭平(@pei_ranpei)イラストやライティング、アニメーション制作など幅広く活動するクリエイター。銭湯をテーマにしたアパレルブランド「off〜of〜off」では、デザイナーも務めています。
私は銭湯の「色味」にめっぽう弱いんです。
富士の壁画の“水色”、“白”。
のれんの“赤”。
桶の“黄色”や、使い古された木の“茶色”。
なんであの配色になったんだろう?
昔の人は天才か?
とはいえ、その色の配色は銭湯によって様々。
施設ごとに変わる配色のバランスを楽しんだり、大幅にガラッと雰囲気を変えた改築銭湯の色を愛でたりするのも銭湯の楽しみ方のひとつ。
最近はデザイナーズ銭湯と言って、現代的なビジュアルが売りの施設も多くなっています。
昔ながらの銭湯の浴室というと水色のタイル貼りをイメージする人が多いと思いますが、デザイナーズ銭湯では黒や白などシャープな色使いとモダンな内装が特徴的。
なかにはプロジェクションマッピングを上映するアミューズメントな銭湯もあるんです。
もちろんどんな内装の銭湯も入浴の気持ち良さに変わりはないし、銭湯の本質はここに尽きるもの。
しかし浴室での撮影をするうちに、私は銭湯の「色味」に魅せられているんだなぁと気づきました。
赤、青、黄色、白……。
様々な色が一枚の写真に収まるさまは、まるで一枚の絵画のよう!
以前、北千住の「タカラ湯」と、埼玉県川口市にある「喜楽湯」という私の激推し銭湯で撮影をさせてもらった写真があるのですが、ちょっと見てみてください。
白、水色、黄色の椅子、壁画の青!
そして何よりベージュのタイル!
大体の銭湯は床が白や水色が多い中、暖色のタイルを使うセンスにときめきます。
しかも床とシャワー部分のタイルまで統一されてる…!
よく見るとシャワーヘッドはボルドーで、まるで旅館の女将さんの着物みたい。
下からのアングルだって最高!
白、ベージュ、鮮やかな緑、桶の黄色!
そんなカラフルな色使いを締めるのはサッシのグレー!
歳月を経て貫禄のある色味に変化した部分と、唐突に現れる原色丸出しの派手なコントラストがたまらない…。
自分で撮った写真ながら、何度見てもニヤニヤしてしまいます。
次はこれ!
白、ベリルグリーン、水色の寒色グラデーション!
天井から差し込む光のおかげで、浴場に透明感さえ感じます。
銭湯の魅力のひとつは、太陽光。
光が入るところと入らないところでは、だいぶ色味が変わるのも面白いのです!
写真をもう一度見てみると、光の入り方が違う左右では印象が違いますよね。
こちらの写真は、「スーパー銭湯さしすせそ」というグループのしばたみのりさんに撮影してもらったのですが、彼女は光をとらえる天才ですね。謝謝。
最後は太陽光の色を捉えた一枚。
ゴールドに輝く神々しい銭湯をご覧あれ!
黄金!茶色!床に反射する光!
埼玉の喜楽湯さんは浴室もさることながら、更衣室や外気浴スペースが特に魅力的。特に女湯のキッズスペースは感動もの!
お家のお風呂ではあまり光を浴びながら入浴することはできないのではないでしょうか。
太陽光に照らされて浮き彫りになる年季の入った銭湯の色味、最高です。
このように、私は銭湯の「色味」にかなり魅せられています。
その他にも銭湯の魅力はたくさんありますが、初回で語りつくすのはおこがましいのでここの辺で……。
謝謝。