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ほめて育てる! 企業の表彰制度、運用のヒント。

表彰制度とは、企業が社員を褒めたたえる制度です。業績を上げたり、貢献したりした社員に対しして、表彰状などを授与することで公に称賛します。その目的を平たく言えば「褒めることで、やる気スイッチを押す」といったところでしょうか。
表彰制度は、日本に限らず世界各国で導入されています。「褒めて育てる」手法は、一定の効果があるということでしょう。日本では労働基準法に表彰制度の記載がありますが、その具体的な内容に決まりはなく、企業によって独自の取り組みを行っています。
この記事では、2031年に創業100年を迎える東京新富町の紙製品メーカー・山櫻が、表彰制度のメリットや運用のヒントを、事例を交えてわかりやすくお伝えします。


表彰制度のメリットとは?

表彰制度の目的は、社員のモチベーション向上やエンゲージメントの強化にあります。企業にとって、社員を表彰するメリットは、次のようなものがあります。

社員のモチベーションの向上

社員全体の自尊心を高め、仕事に対するモチベーションを向上させます。モチベーションの向上は、生産性の向上、効率化にもつながります。

優秀な人材の確保

才能のある社員が競合他社に流出するのを防ぐ手法としても活用できます。

企業文化の強化

表彰制度は「協調」、「社会貢献」、「イノベーション」といった企業の方向性を具体的に指し示します。企業ビジョンに即した実績を残した人材を表彰することで、企業文化を根付かせることもできます。

社内表彰の事例2選

ここから、いくつかの社内表彰の事例をご紹介しましょう。

スタンダードな社内表彰事例

・永年勤続表彰:勤続年数に応じて、その勤労をねぎらう
・年間最優秀従業員賞:年間を通じて最も優れた成績を上げた社員をたたえる
・新人賞:新入社員の中で特に成果を上げた人を評価する
・営業成績優秀賞:売上目標の達成率が高い営業担当者を賞する
・チームワーク賞:高い成果を出したチームやプロジェクトをたたえる
・革新賞:新しいアイデアや改善提案で会社に貢献した社員を褒めたたえる
など。

ユニークな表彰事例①太陽パーツ株式会社「大失敗賞」

機械や住設機器の部品メーカーである太陽パーツ株式会社は、ものづくりの技術者集団である社員に対して「大失敗賞」というユニークな賞をもうけています。
半年に一度、新しい事業に挑戦したものの、その成果が出なかった社員に対して「挑戦の過程で貴重な学びやノウハウを会社にたくわえた」という観点で、金一封を贈ります。
この賞は、「失敗は挑戦した者に与えられる勲章」という考え方にもとづくもの。失敗を恐れずに新しいことに挑戦する企業文化を育み、結果として企業のイノベーションを促進しています。

太陽パーツ株式会社 「大失敗賞」

ユニークな表彰事例②株式会社CINC「自画自賛で賞」

ビッグデータを活用したマーケティングを行う株式会社CINCでは、毎月、社員が自らの成果を自慢する「自画自賛で賞」を開催。1カ月間を通じて社員各自がもっとも力を入れた取り組みをプレゼンし、そのなかからもっとも優れた成果をあげた社員に贈られます。
この賞により、社員は自分の成果を積極的にアピールする機会を持ち、また、他部署の取り組みについても知ることができるようになります。風通しの良い社内が生まれています。
受賞者は、役員の意見だけでなく社内投票も含めて選出されるのも、ユニークな点だといえるでしょう。

株式会社CINC「自画自賛で賞」

社内表彰の運用のポイント

ここから、社内表彰制度を成功させるポイントについてまとめてみましょう。

明確で公平な評価基準をもつ

社内の表彰制度を運用するには、明確で公平な評価基準を設けることが重要です。
選考過程の透明性を保ち、全従業員が納得できる形で表彰を行うことが、制度の信頼性を高めます。
株式会社CINCの事例のように、受賞者の選出に、社員ひとりひとりの意見も参考にするという手法も、表彰制度を盛り上げる要因となることでしょう。

バックオフィスにも光を当てる

表彰の種類や褒賞を多様化することが、社員一人ひとりのモチベーション向上につながります。
可能であれば、社内で評価が目立つ営業や開発部門だけでなく、経理や総務などバックオフィスで働く、いわば縁の下の力持ち的なポジションの部署にも光を当てるような表彰制度を設けることで、全社的な生産性向上につながることでしょう。

企業の成長を促す制度としてとらえる
社員の立場からみると、定期的に表彰の機会をあることは、個々の働き方の成長を感じることができる機会につながることでしょう。
一方、企業の立場からみると、社員の働き方の成長が企業の持続的な成長にもつながることを忘れてはいけません。
こうした制度を長く運営するには、成果を測定しながら、継続的な改善も求められることでしょう。アンケートやインタビューを通じて社内のフィードバックを収集し、それを制度の改善に活かします。
こうしたPDCAサイクルに基づいた改善を続けることで、上意下達のおしつけではない、より意欲的な表彰制度を運用できるようにになるでしょう。

「企業の表彰制度、運用のヒント」まとめ

●表彰制度のメリットとは?
・社員のモチベーションの向上
・優秀な人材の確保
・企業文化の強化
●スタンダードな社内表彰事例
・永年勤続表彰
・年間最優秀従業員賞
・新人賞
・営業成績優秀賞
・チームワーク賞
・革新賞
●社内表彰の運用のポイント
・明確で公平な評価基準をもつ
・バックオフィスにも光を当てる
・企業の成長を促す制度としてとらえる

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