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理解の近道は「言語化」

20代の終わり頃からカウンセリングを本格的に学び、OLの傍ら行政の機関で「相談員」として、多くの人のお悩みを聞いていました。
30代後半から始めたアロマセラピストは、もっと”効果的に”話を聞ける人になりたいと思って始めた仕事です。

”効果的に”というのは、当時の私は「お客様の悩みが解決して、気持ちが晴れること」だと思っていました。
もちろん、今もそれは効果の一つだと考えていますが。

今の私は「話してスッキリした」が最大の効果なのではないかと思っています。
解決までを効果だと思ってしまうと、カウンセリングの8割くらいが失敗です。
長年抱いていた悩みです。1回のお話で解決するはずもないし、カウンセラーが解決しようなんておこがましい。


問題が「悩み」になるまで

「悩」という漢字は、「脳」に似ています。りっしん偏(心)かにくづき(身体)かの違い。面白い。
つくりの、ツの下に凶みたいなもの。
凶は、凶運という意味ではなく、顔を表していて、上の部分に線が入っていないのは、頭頂が開いていることを表しているのだとか。
赤ちゃんの時は、頭蓋骨が固定されていなくて頭頂がペコペコしていますよね。この部分を「ひよめき」って言うんですって。
なのでこのつくりは、”ひよめきから毛が3本生えている”と言うことらしい。
つまりは「脳みそ」そのものなのだとか・・・

脳が身体のことを表し
悩みは脳みそに心がある状態ってことかしら?
ここは、私の解釈だけど。

つまり、悩みは私たちの「脳」が作り出していることです。
同じ問題に直面したとしても、みんな同じように悩むかというと、その人の脳がこれまで体験してことや、脳の癖によっても違うでしょう。

悩みは、たいてい小さなことから始まります。
そして小さなうちは、少し煩わしい程度なのですが、そのうちそれにまつわる様々なことが、絡み合ってどれから解決したら良いのか?何が問題なのか?何が嫌なのか?何にモヤモヤしているのかすら、わからなくなってきます。
これが「悩み」と言われるもの。

だから悩みの解決って、簡単ではないんです。

話すことの難しさ

カウンセリングでは、「傾聴」を学びます。相談者の話を否定することなく聴く。できるだけ本心を話せるような環境を作り、話せることを話してもらう。

なのですが、カウンセラーをやっていても思うし、自分がクライアントとしてカウンセリングを受けていても思うのですが
本心や本音って、そうそう簡単に打ち明けられるものではありません。
嘘を吐こうと思っているわけではないし、できるだけ誠実にお話ししたいと思っていたとしても、無意識にバイアスがかかるものです。

・良い人に見られたい
・非常識なことは言いたくない
・罪悪感を刺激されたくない

こう言う気持ちが、どうしても自分の言葉を制限するし、情報を制限する。
その結果
「話しきれなかった」と言う後悔が生まれます。

聞くことの大切さ

そこで、お話を聞くときには大事なことが「聞く」こと。「聴く」ではなく「聞く」です。
つまり、質問をすること
ソクラテスが、自分の弟子たちとの問答の中で行った「質問」による気づきを促す方法「ソクラテス式対話」とか「ソクラテス問答法」と言われる方法です。

昨日のことを自由に話してください。と言われるより
昨日の天気を覚えていますか?と聞かれた方が、昨日の出来事を思い出すことができます。

あなたが今感じていることを自由に話してください。と言われるより
あなたが今感じている感情に一番近い言葉は何ですか?と聞かれる方が答えやすいはずです。

これは、人は聞かれれば考える。
と言う、反射を利用した効率的な思考促進法です。

傾聴一辺倒だった私は、この方法を知って、クライアントが躊躇なく自分のことや問題についてお話しされることが増えたと感じてます。

問題の言語化ができると理解が早くなる

ただし、カウンセリングや相談においては、ただ自分のことを話しただけでは「スッキリした」と言う結果にはならなくて、話したことによって、自分の問題を整理できたり、頭の中のぐるぐるモヤモヤが「箇条書き」になって見やすくなるくらいわかりやすくなることが必要です。

そのために大事なことは、言語化、明確化だと感じています。

なんかモヤモヤする
イライラしている
色々ありすぎて

と、感情や状況によるストレスは感じているようだけど、実際何がどうなっているのかがわかっていないことが、また自分の問題を肥大化させます。

例えば、こんな相談があったとしてます。

「あの人のことを嫌いなわけではないのですが、SNSの投稿を見るとモヤモヤしてしまうんです。一緒に仕事ができる気がしない」

このモヤモヤと言う抽象的な言葉を、掘り下げてみます。
「モヤモヤって、怒りですか?悲しみですか?不安ですか?焦りですか?どんな感情でしょう?」

ーん〜。怒り?・・・とも違います。なんか、『キラキラしちゃって、何やってんの?』みたいな気持ちです。

「キラキラしちゃって・・・と言うのは、軽蔑に近い感情ですか?」

ーはい。それに近いです。

「なぜSNSの投稿を見て軽蔑しちゃうのでしょう?他の人の投稿でもそう思うことがありますか?」

ーいえ。この人だけなんです。なぜか・・・

「なぜだと思いますか?」

ー嫌いなんだと思います。

「嫌いというのは、この人を嫌い?それともそういう投稿が嫌い?」

ーこの人を? いいえ。この人は嫌いではないです。・・・多分。 憧れてます・・・

と、思ってもいない答えが出てくることがあります。

「憧れている。どういうところに憧れますか?」

ーあはは。私 憧れてるって言ってますね。
はい。多分、羨ましいんだと思います。素敵な仕事をしていて、楽しそうな投稿を見て。
私もやらなくちゃ。とか、私はなんで、こんなふうにできないんだろう。って。

「その人のようになりたいと思いますか?」

ーん〜、どうだろう? 私は違うのよ。という気持ちもあったりして・・・

と、こんな風に「モヤモヤ」という気持ちの本当の意味が見えてくると、クライアントは、どんどん自分の言葉に気づかされてきます。
そして、自分が本当に悩んでいることは、SNSの投稿が嫌ということではないということ。
そして、その人を嫌いだから一緒に仕事ができない。というわけではないということが、本人自身が気づきますので、解決が早くなるのです。

実は嗅覚も同じ

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