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精油はメディカルに使えるのか?

アロマセラピーを勉強し始めた頃、精油に「薬理作用」というものがあり、含まれる芳香成分、化学成分の”薬効”が、私たちになんらかの影響を与えることに驚きました。

もちろん精油が私たちの心に何かを訴えて、気持ちが軽くなるとか、心拍数が落ち着くということは実感していたし、なんとなく知っていましたが、
精油には薬剤、薬品にも用いられている化学成分が含まれていて、その作用は化学的に科学的に立証されているのか!と驚いたのです。
つまり「気のせい」や「眉つば」といった類のものではなく、明確な働きなのです。

だとすれば、精油さえあれば、薬は要らない!、風邪をひいたら、免疫力を調整する1,8シネオールが入っていて、ウイルスをやっつけてくれるモノテルペンアルコール類を多く含んで、自律神経を調整してくれるエステル類の入っている精油を使えば良いじゃん!
香りを嗅ぐだけで治るなら子供も高齢者もこれで良いよ。と、思いました。

胃腸を調整する作用の化学成分、痛みを改善する化学成分、循環器や血管の働きを促進する化学成分・・・
しかも、1精油に100種類近い化学成分が含まれる精油もあって、万能薬のように使える!!

アロマセラピー、すごい!!薬品の代わりに精油を使うことができたら、なんだかとっても幸せじゃない?と、思いました。

ところが、精油を知れば知るほど、「そんなに簡単な話ではない」とわかります。

まず。
精油は、植物から水蒸気蒸留法や圧搾法などで採油されるのですが、その植物の出来が、産地によって、天候によって、季節によって全然違うのです。
野菜や果物だって、毎年同じではないのと同じです。

つまり、採油する度に「成分」が違うのです。
成分が違えば、当然薬理作用も変わります。あるはずだった成分が入っていないことだってあります。
そうなれば、期待した作用が得られません。

事実、この20年くらいで、精油の成分はかなり変化しています。もちろん香りも変わっています。

そして、精油は単一成分ではなく、様々な成分を含んでいます。
そこに薬とは違い、精油には解明されていない、検出されない化学成分がかなり含まれています。

精油の成分分析は、ガスクロマトグラフィーという手法を使いますが、この手法は、「サンプル(試料)」と言われる、既出の化学成分がどれだけ含まれているのか?を調べるものなので、未知の成分については「未知」と出るだけで物質が特定されるものではありません。

したがって、精油に含まれる成分が実際にはどのような「効果」をもたらすかは、明確にわかりません。
精油に含まれる成分同士で作用を打ち消している場合もあるし、逆に作用を増大させている可能性もあります。
この辺りは、あくまでも使用者の感性に依存することになります。

「私はペパーミントで頭痛が楽になるけど、あの人はペパーミントを嗅ぐとかえって頭が痛くなるらしい」なんて話は、ペパーミントに限らず、よく耳にします。
精油の作用が「人によって違う」というのは、感性、感受性が違うので、何をどう受け取るかがわからないからです。

アロマセラピーを続け、精油を使えば使うほど、「精油はメディカルに使えない」というのが私の考え方です。
おそらく、アロマセラピーをよく知り、長く使っている人ほどそう思うはずです。

期待した答えが出ない。ということをたくさん経験しているからです。
でも、アロマセラピーは「メディカル」ではありません。
薬効を期待することが、そもそも間違いで、アロマセラピーに期待する答えは、「人によって違う」ということを引き出すことだと、私は思っています。
このことについては、また後日書きます。

今日の結論は、精油で病気を治したり、健康維持を考えるなら、精油の不安定さと不確実さを理解して使おう!です。

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精油の翻訳家 藤原綾子
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