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2024年のお話-op.5 Science Fiction

Science Fiction

とりたてて好きなジャンルではないとおもっていた。だけど2024年を振り返ってみると、ご縁があるジャンルだったなと思う。

初めてSFを意識したのは「スワロウテイル」を観て影響を受けていると知った「ブレードランナー」。アンドロイドやロボットに興味を持ち始め、同時に見るたびにやけに心もとなくなった。
ホラーとかゾンビ映画の作品は、人間の残虐さとか、見た目の気味の悪さとか、シンプルに血が苦手だからだとかそういうお化け屋敷的な恐怖心を駆り立てられるけど、Science Fictionは怖さの質が違う。人間そっくりの人とは違う生物を目の当たりにすると、危うく不確定な存在である事実を目の前に突きつけられてしまう。自分が今ここに居る感覚が脅かされる不安感を煽られる。
未来は誰にもわからないし、未知のものは怖い。そして得体の知れないものは怖い。全く得体が知れないと言えば、生と死のこと。誰も明確な答えなど持ち合わせていない。

宇多田ヒカル

リスペクトしている宇多田さんが、彼女自身の歌を説明するときにっていうのがハマるというのでつけたツアータイトルがScience Fiction。
フィクションでも、ノンフィクションでもない、Science Fictionというジャンルだという。このナチュラルに不可解な言葉を発するところが生粋のアーティストたるゆえん。

運良く今回もツアーライブに行くことができたんだけど、彼女がリアルに目の前にいて同じ空間にいること自体が不思議な感覚に陥る。それがわたしにとってはSFなのかもしれない。
歌だけでなく、インタビューやライブで発する彼女の言葉が多くの人に届くのは彼女がアーティストとして、そして1人の人間として生きることに向き合ってきた証だと思う。

100年後の未来

OTOさんの企画でSFに振り分けられるジャンルの戯曲を演出したのだけど、そのときに、未来のことを考えた。100年経ったら日本のみならず地球はどうなっているのだろう。100年後まで資本主義は続いているのか、続いていたとしたら、この格差社会はどこまで広がっているんだろう、そしてシンギュラリティを迎えた人類はどこに向かうんだろう。
100年後はもちろん生きてはいない。だけど生きることができる技術が生まれるのも遠くない未来かもしれない。その時にどっちを選ぶんだろう。

SFは嘘だけど嘘だとも言い切れないような現実味があるから怖くなる。
全く嘘だってわかっているからそれを楽しむこともできる。
怖くもあり楽しくもある。なんなら時間も空間も飛び越えることができる。
何かに似ていると思ったら、これって舞台芸術と似てるんだ。







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chirico kaworu
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