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偏愛についての記憶-装苑-
本棚をながめていたらふと一番古い本はどれだろうかと思ってさがしてみたくなった。実家にもどってきたのは10年前なのでほとんどが演劇に出会ってから購入した本だ。演劇に出会う前に読んでいたようなちいさなころからずっと本棚にある本はないかしらと思ったのだ。
だけども書籍はやっぱり手元になくて、一番古い本は雑誌だった。
1999年7月号の「装苑」だ。
学生演劇のときには衣装を担当することが多く、型紙から衣装をつくっていた。そして、参考にするのは決まって装苑だった。もっと昔はたいていパターンがあって、起こせば誌面上と同じものがつくれる雑誌だったのだけど
大学生の頃にはもうパターンがなくなっていた。たまに特集でとりあげられることがあったので、この号はそのうちの一冊だった。20世紀の代表的なモードのパターンが時代ごとに紹介されていて実際にいくつか衣装で使ったこともある。
もともと、定期的に掲載されるファッションショーの衣装を紙面で眺めることがすきだった。リアルクローズでは表現できないオートクチュールの世界に憧れていた。演劇がすきなのもこのオートクチュール感がすきだということに通じているのだ。こんな衣装なら着てみたいし、実際につくるようになったのも、この雑誌の影響だった。
今も他のファッション誌を買うかわりに購入することが多い。様変わりはしたけど、いつみてもときめく。衣装特集のときは必ずと言っていいほど買ってしまう。アイドルの衣装、映画衣装など、衣装は世界観や個性を如実に表現する。スタイリストさんのお仕事、メイクのお仕事など、トップクラスの人たちばかりが登場するので、舞台にかかわるものとして役立つことはとても多い。
そして、このぼろぼろで古びていまも手放せないで本棚にあるこの号も、今見返しても新鮮で色あせないままである。貴重な雑誌なのです。
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