Lotus Edenリリース
お知らせです。
本日、私が制作に関わった書体「Lotus Eden」がタイプラボさんよりリリースされました。
今年の5月から半年ほどかけてコツコツ作ってきたので、簡単ながら紹介させていただきます。
Lotus Edenについて
制作までの経緯
このLotus Edenですが、デザインはタイプラボ代表の佐藤さんが制作した、1987年の国際タイプフェイスコンテスト・モリサワ賞の欧文部門にて二位を受賞した書体「Lotus」が元になっています。
受賞後長らく世に出ていない書体でしたが、この度のリリースにあたり声をかけていただき、デザイン面で全面的に協力させていただくことになりました。
デザインについて
基本的には1987年に発表されたオリジナルのデザインをそのまま生かす方向で作業を進めました。
初期の段階において、大文字に対する小文字の高さ、xハイトが一般的な欧文サンセリフ書体よりも高いなと感じたので低くしてみたり、その他あれこれこうした方が良いかな、といろいろいじってみたりもしたんですが、やっているうちにだんだん個性が無くなってしまったのでそれらは結局ボツに。最終的にオリジナルのコロっとした、少し古風な印象を生かすために細部のファインチューンに留める方向にしました。
比較的大きくデザインを調整した部分としては小文字の「a」でしょうか。
オリジナルは少々右下の部分がだらんとして見えたので、お尻を引き上げるようなイメージでクッと持ち上げて、「d」や「u」と同じような印象になるように調整しています。
ウェイト拡張
制作にあたってMedium、Bold相当のデザインを資料としていただいていましたが、せっかく作るのでぐぐっとウェイトのバリエーションを広げました。
細い方はなるべく細く、太い方もこれ以上は無理ってぐらいのギリギリまで広げたつもりです。元のBoldのデザインはウェイトを広げるにあたっての参考とし、Mediumを基準ウェイト両端のThin、Blackをそれぞれ新規にデザインしました。
プラスして新たにイタリック体もそれぞれ用意。当初もっと筆記体寄りのデザインにしようかなと思って軽く試したのですが、私の腕では中途半端感が出てしまったので、最終的に一度機械的に斜体にした後イタリック体としての微調整を施すという方向で仕上げました。
グリフセット
どこまで文字を用意しようかは割と最後の方まで悩んでいました。もともと私が以前作成した書体「Nacelle」と同程度のグリフ数という話でしたが、せっかくの機会なのでチャレンジとして突っ込めるだけ突っ込むことにしました。
最終的に、Nacelleで用意したグリフに加えて
スモールキャップ
オールドスタイル数字
上付き/下付き数字
を追加することに。結果として私が作った書体の中で最多のグリフ数となりました。欧文書体としては最低限のラインはクリアできたかなと思っています。
思い出話的な何か
さて、このLotusという書体ですが、ちょっとした偶然と言いますか、発表された1987年は私の生まれた年でもあったりします。
また、かれこれ十数年前に私が欧文書体を自分で作ろうとして、右も左も分からないなりにいくつか参考や手本にした書体の一つでもあります。
まさか今になって自分がその書体のリリースやデザインのリファインに直接関わることになるとは当時はまったく想像していませんでした。不思議な縁を感じると共に、私にお声がけくださった佐藤さんに感謝いたします。
さて、そんなLotus Edenですが、本日より頒布開始です。
メールアドレス登録で体験版としてMedium/Medium Italicがダウンロードできるのでぜひぜひお試しください。
ではでは。