サウナ好きが"サウナー"なら本屋好きは"ほんやー"でいいですか
平日の休みはうれしい。
何も予定がないのはもっとうれしい。
だから今日は最高。
平日の本屋はいつもより楽しい。
いつもより人目が気にならないからだ。
例えば占いに興味があるけど、占いの本を立ち読みしているところを職場の人に見られてしまうことを想像すると、なかなか近寄りにくい。
けれど今日は大丈夫。職場の人は今、仕事をしているからだ。
ちなみにある占いによると、今日は『趣味等がはかどる日』のようだった。
当たってるね。
文庫本は軽くていいなあと思う。
単行本も好きだけど、今日は文庫本の気分。
出版社ごとに整然と並ぶ本の列に向き合う。
その時その一列に私以外誰もいなかった。
本の背に載ったタイトルをずっと眺めている時間は私にとってのマインドフルネス。
ボーっとしていても許される家以外の空間は貴重だ。
これが休日だとそうはいかない。誰か他の人が見たい場所でボーっとしていた場合は退かなければならないからだ。
でも今日は大丈夫。
ボー。
どうでも良い話だけど、文庫本の列と向き合っていてあることに気が付いた。皆さんがご存じの通り、文庫本は作者の名前があいうえお順に並んでいる。
どうやら私はあいうえお順の後ろの方の作者の本を好むようだ。『伊坂幸太郎』を除き、『村上春樹』、『穂村弘』、『森見登美彦』等。みんな"ハ行"以降だ。最近、芸能界の方のエッセイも好んで読んでいるが、『又吉直樹』、『若林正恭』、『星野源』と、みんな"ハ行"以降だ。
自分が"マ行"だから、引き寄せられているのかしら。
ふと時計を見ると、思った以上に時間が過ぎていた。
『時間を忘れるくらい○○』という言葉があるけれど、本屋にいる時間は私にとってそういう言葉で表現できる。ということは、本当に好きなことなのだろう。心の底から好きなことがないとか、自分は空っぽなのかもしれないとか、何もない自分に浸っていた以前の私から、少し変わったのかもしれない。本屋にいるときのこの高揚感は変わらないのだけれど。
文庫本を2冊レジに差し出すと、店員さんが明るい声で「お待たせいたしました」と言った。テンプレートなのかもしれないけれど、温かみがあり恐縮した。平日なのにボーっと休んでいて申し訳ない、とまでは思わなかった。会計が終わって2冊を店員さんから受け取るとき「ありがとうございました」と言われたので「ありがとうございます」と小さい声で言いながら少し頭を下げて感謝の気持ちを表現した。この瞬間、自分のものとなった文庫本たちが、仲間のように思えて少し温かかった。
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