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そらQラジオ【text】第4回(2020年1月23日):副業・兼業に関する交通費支援について その4

そらQラジオ【text】では、ラジオの内容を整理してお届けします。前回は2拠点居住のお話でしたが、今回は ‟多拠点居住ニスト” 岡田拓也さん(「Nativ.media」編集長)にお話を伺います。(多拠点居住ニストは田鹿の造語です!)(岡:岡田さん 田:田鹿 永:永山)

要点メモ
・多拠点を自力でやってみる。いろんなところに居場所を作れるのがメリット
・交通費補助がなくなっても地方に行く流れを作れるかが課題
・逆に、地方在住者が首都圏に行く際に補助する手も。2拠点や地方暮らしを検討する機会にしてもらえる

東京ハブに地方3拠点。「自力」がテーマ

田:岡田さんの多拠点スタイルを教えてください
岡:宮崎、高知、山梨、東京の4拠点が基本です。1か月にそれぞれ4~5日ぐらいいて、その間が東京。ハブにしやすいので。ポリシーとして、多拠点を自力でやってみるみたいなところがあります。いろんな拠点にお仕事があり、いろんな仕事のトータル売上の中から交通費や住まいの費用を捻出します。交通費や住宅の家賃が当然高くなるので大変ではあるのですが。
田:多拠点のメリット・デメリットを教えてください
岡:いろんなところで居場所や友達を作れることが最大の良さだと思っています。よく「大変そう」言われますが、「楽しいですよ」って答えています。そこに居続けると決めている人からすると「外から来てなんかやってる」みたいに見られたり「ここにずっといないんでしょ」と思われたりはあります。でも、僕は最初に「永住じゃないけど、ずっとここに来ます」って伝えて、対話しながら「そういうスタイルもありなんだね」と認めてもらえる変化も感じています。

スキルがある人は、補助金がなくても勝手に地方に行く

田:先日、地方創生として関係人口を増やしていく具体策として、首都圏の会社員が地方で兼業副業する際の交通費を補助するというニュースがありました。補助は効果的だと思いますか?
岡:率直には、逆じゃないかな?と思いました。東京の人に補助を出して地方に行ってくれって言うのは。というのも、地方に行く人は行くよな、と思うんです。僕の周りのクリエイター系は自分の感性を磨くためもあり、週末には積極的に地方に行って副業するライフスタイルの人がいます。収入面と地方に行くクリエイター層は相関があって、たくさん稼いでいてスキルがある方は勝手に地方に行けると思います。
田:交通費がなくても地方から呼ばれるし、そこでも仕事ができると。
岡:はい。この施策で行くっていう人が、このお金が出なくなった後も自力で行くようになるかって言うと疑問だと思います。補助金と同じで、一度使っちゃうと、これがあるからやってるみたいな本末転倒になるんじゃないかなって。

逆に、地方在住者が東京に行く際に補助しては?

田:制度では個人に出すのではなく、首都圏から副業兼業を受け入れる地方企業に補助金を出し、そこから交通費が支払われるという形です。受け入れ地方企業側が乗り越えるべき壁ってなんでしょうか?
岡:ますます勘違いが起こりそうな気がしています。東京から来る人の意見はすごいんだみたいな思い込みはよくありますよね。制度では、さらに、東京から人を簡単に呼べるってことになると、その人の実力やその人が何をやるかを見ずに、呼んだら来てくれるという流れになってしまうのではと懸念しています。
田: 岡田さんが関係人口を拡大していくというミッションを背負った官僚だとしたらどんな政策にしますか?
岡:難しいですが、交通費全体を安くしていく方向はできないのかなと。交通費が高すぎる面があると思うので、特定の補助金ではなくて、移動の流動性を上げるようなことに使えないかと考えます。また、今回の制度とは逆に、地方在住者が東京に行く際に補助金を出してはどうでしょう?交通費補助がつき、3年間行き来して暮らしてみたら自分にとってのバランスが把握できますよね。東京は月に一回でいいなあとか、地方に2週間もいたら退屈だからやっぱりベースは東京にとか。そうすれば、地方に住もうかって人が出てくるのではないかと思います。

***
(インタビュー後)
永:自分のお金で行き来することにこだわりを持つ、そういう気概や覇気が地域に求められていると感じますね。補助があるから来れる人たちとは立ち位置が違う。本当のプロフェッショナルのノウハウやスキルが地方に移っていくには、これだけのスタンスを取れる人たちの力が必要だと。
田:岡田さんも指摘していたように、東京のほうがレベルが高くて地方は低いという一つの軸上で語るのは違いますよね。首都圏と地方では、そもそもルールが違う。マラソンで入賞できない中位の人が強歩ならいけるんじゃないかってやりだしてもうまくいかないように。
永:第2~4回で3人に聞いてきて、今回の制度にはみなさん原則前向きだけど、すでに自分たちの経済性の中で活躍している人たちの土壌も見えてきました。その上で、この制度をどう受け止めるか、さらに議論していきましょう。岡田さん、ありがとうございました!

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