
衛星データで城跡の様子を知ろう
2022年7月にスタートした豊橋市とのコラボレーション企画の続編!
豊橋市で集めたアイデアの中で、サービスとして可能性のあるアイデアを実験的に検証していきます。
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お城や城跡は観光スポットとしても人気を博していますが、都市部では近世以降開発が進み、城跡が残っていない場所もあります。実際に城跡に行ってみたい!当時の縄張りを歩いてみたい!と思ったとき、現在の城跡の様子や周辺の開発状況などを知ることはできないでしょうか?本記事では衛星データを使って調べてみようと思います。
衛星データ、つまり上空から撮影された地球の様子を手軽に閲覧できるツールとして、「Google Earth」があります。まずはGoogle Earthを使って、愛知県豊橋市にある吉田城の様子を見てみます。

城跡の周辺の敷地が広く、緑も多く残っていそうですね。しかし、撮影された日(画面左下の日付)は2022年10月21日のようです。もしかしたら撮影されてから現在までに開発などが進められている可能性もあります。そこで、別の衛星データである「Sentinel-2」のデータを確認してみます。
Sentinel-2は欧州宇宙機関(ESA)によって打ち上げられている衛星です。Google Earthよりも解像度は低いですが、5日ごとに観測が行われており、頻繁に上空からの撮影が行われているという特徴があります。Sentinel-2による観測データは公開されており、ブラウザ上で閲覧できるEO Browserを使って衛星データを閲覧します。
※EO Browserについては以下の記事もご参照ください。
今回は執筆時点で取得できる最新のもののうち、雲が少なかった日として2024年1月30日の画像を選びました。

Google Earthよりぼやけているものの、先ほどと同じくらいの敷地と緑がありそうだと予想できますね。ここで、表示を「False Color」に変更してみましょう。EO BrowserでのFalse Colorを用いると、植物が赤く表示されるようになります。

植物があると思われている(黄色い枠の外側の)部分が赤く表示されており、実際に植物もあることを確かめることができました。これより、Google Earthで見た2022年の様子と変わっていないようであると判断できます。
それでは、他の城跡はどのように見えるでしょうか?
他の例として、愛知県豊川市にある牧野城の様子を見てみます。まずはGoogle Earthで閲覧します。

こちらは城跡の周辺の緑が少なく、開発が進んでいて城跡があまり残っていないと判断できます。同様に、Sentinel-2による2024年1月30日のデータをFalse Colorで見てみると、実際に周辺の植物が少ない様子を確認することができました。こちらも、Google Earthで確認した2022年の様子と同じ状況だろうと判断できますね。

なお、さらに過去の衛星データを見ることも可能ですし、それらの衛星データを取得してタイムラブスを作成することも可能です。EO Browserでのタイムラプス作成に関しては、公式ドキュメントをご覧ください。
今回は衛星データを使用して、上空からの城跡の様子を確認してみました。実際に城跡を訪れる前に現在の様子を確認できるひとつの手段となるのでは無いでしょうか。衛星データの種類によって長所が様々あるため、用途に合わせて組み合わせながら衛星データを活用してみてください。
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