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Où es-tu ?

ささやかな笑いも音楽打ち寄せる波また波は歌うように笑う

(Où es-tu ?)

欲望にとって世界の暴落は木槿の季節のしろい花のいろ
愉しさをサイロにしこむいまこのときななめの町を市電がくだる

ゆくところないね。

砂糖しろくふりしきる夜に放送はやがて塩へと変わると歌う
もういちど美しい翅で浮揚すると揚羽は思う地をはこばれつつ

そもそも

月影の草の葉照らし葉影また月影翳らせ夜を深める
情報といっても同じ生物だし安い情報はみなやらせという

なぜなのか。

砂つぶのひとつぶずつをいろづける空はしずみゆく水平線に
不安より不穏にそまる魂はなぜなのか殺されると怯える

幼年期の中止

町の道を訪問先まで歩いたらおうちのそとは底知れぬ不穏
夏フェスの廃墟、今年は昭和やら平成やらのいのちの廃墟

もんすたあ

日傘さすあるようなないようなひと天使の尿はそこはかとない
あいほんのレンズからみたその顔はひとではないのだ怪物の世界

国境

この世界のななめにおちくるたそがれを幕と思えるひとりであること
新しい老化は若い兵士らのさらに若い花すべてやき払う

鏡が歌を裂くから歌が鏡割って憑きもの落とす

背中からわきにはいりこみやわらかく君の体積ふやす贅肉
だれよりも弱い君こそだれよりもひいろおそれは残酷なさだめ

暑とそのどぅうぶる

非創造な破壊行動息の音をとめるまで撃つ私の迷いを
暑と湿気熱せられた日の夕暮れは水無月盈ちて袖へ寄り添う

凡庸さ、隠してもむだ。

天使また悪魔あたかも肉体とえがいてはならず彼ら心霊
憎しみにこの世の意味を測る者は多様というより一様な群れ

とらうまものがたり

愉しみや笑い悦び好奇心のぼる土星にあおく照らされ
すていじは楽屋とにらみあいそこに「傷」うかびでる試煉のときに

set-me-freeと、涙声で

かんだたの苛酷な地獄へきれやすい蜘蛛の糸たらす釈迦の性格
私たちは偶然生きているのみで愛と劣情の怪しい産物

本能以外ない仮説

せめんとの匂い晩夏の午後早く熱射の重み背負わせる道に
会いにゆき二米離れますくするひとというやや新しい種族

夏が逝く

地表にて腐りゆく山梔子の花逸脱し堕ちて閉じた目は笑む


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