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くずれるくずれる

迷鳥エレジー

ころも濡れてひととき雨の虫となる中世の霧の解けない数学
鳥はきっと私の名前を知るだろう綺麗な紙を汚す真理を

消えた歌草

歌はまたながれるみずのゆびのあと淡い思いは水羊羹さ
生きることはきずのコレクション微笑するひとの脆弱性は死罪と

ローファイ解体

ただ壁にくろい壁の絵をえがくことでわざと秩序を打ち水でぬらす
こわれ・たし修復の目処はありません私はまったく疵ひとつなく


明日朝のリムジンのドアがゆっくりひらく。

大いなる黄身ふるえつつ堕ちてゆく西の地平線その奥を思う
討論やゲームでなくて。絶妙な具体性帯びる言語をさぐる

知識のかけら

うららかに水彩の空の春をあさみすこし湿度に救われる肌
あえたなら安心なひと不安なひと「先住民」は逐われて睡る


戦争反対

やがてテラはプラスティックの星になる石油製品としての悲劇
ひとにとりひとの善意はすべて偽善走りの春の明るみと私

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