![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43132662/rectangle_large_type_2_9d3ca49554e2253fb9c46655c3e96141.jpg?width=1200)
交錯
月影のひかりみちまたはひかりひきたわむれている二歳の幻獣
笑いとはたけのこのつちにまみれつつ地面に生えてよこざまである
非力
二分の一ふたつと一のひとつとがおなじおおきさとからだに教える
人間の笑顔のためにできることその尊厳のためにできること
冷蔵庫のなかの季節
かもめとは海と空との作品とか単純なことはなかなかつかめず
時雨ごとに裏葉草の葉濃く染まり冬ごとに御親春をうたがう
潔
氷のひとガラスのひとはくだけるひとそして溶けるひとだれもまぬかれず
元素・分子あつめるところからはじめる「料理」を篤く殿堂にむかえる
型落ち
なにも知らずあるはずのもののみえぬゆえ若さの熱に感染できず
私をのせまんぼうのような大きなふな竜宮城へゆきたいこわい
リセット詐欺
しあわせにほろびさること春風でみゆきな土地は川たちのなか
変わること生まれなおすこと人格を改造することむなしい私
軽さを。
液体に相を変えそうかさねがさねおなじ鳥の歌歌いそこねて
やわらかな波打ち際に閃光の詩句したためて泡立ちに寄せる