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人間さん、中秋節に。

人間さん

ニール・ヤング「ハーヴェスト・ムーン」落ち葉焚き香る音楽のふいにいりくる
人間は衣服を洗うひとのため洗うこともある。もっと自由を

血液

夜十時それまでのときあとのときたちきれぬものを「きる」といつわる
ひとのおすは火星の生物ちのいろのほのおこのめば核のちからまで

眠れない、ベンチ

「糸」をうたうみゆきはパンク女王だとあかるむ原に笑むおみなえし
雪もよいの福祉会館よこにあった公園むこうは夜の多摩川

幽霊にちかく

存在のリズムのために短詩がある持続のために散文がある
三人で町をあるけばいつだって私はうしろだまってあるく

あとは堕ちるのみ

この世帯心中により死滅すれば屋根のとんだバスタブに盈ちる空
なりゆきで暮らしのシェアをしたまでの他者の食卓こころあかるむ

私たちの私

ぶすでないきもいでもないグロの針もふりきるだろうフィルター浮かせて
夜半すぎてこんな季節をいつまでも願うひともう眠れているか

散文世界(ふみちるよ)

つらくても何も知らねばわからない私はだれか言葉かわしかた
見わたせば言葉寄せるべき他者もなくひとりの世界はくちづけの欠如

薬品の作用

かさねるほどくずれやすくなる崩壊の衝撃はつよく歳というもの
みているのは月か私かまだ生きてまた葉月にあり十五夜むかえる

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