映画『八犬伝』創作って…最高。
「…という話を作ってる、北斎、絵を描いてくれ。」
伝説の作家・馬琴と、伝説の画家・北斎は、そう…『ぴ』なのであった。
お互いにルックバック。
挿絵が入り、ファンタジー増し増しの世界観。
この時代のラノベなのですか?
馬琴は人格面で相当な問題があるようだったが、そこにはあまりスポットは当たらない。
だから奥様(お百)がなんでキレてるのかもあんまりわかんない。
北斎をして
「なんでこんな堅物からこんな話(八犬伝)が生まれてくる?」
と何度か言わせている。
北斎とは偏屈もの同士、なにかシンパシーがあったのですね…このふたり、すごい好きだ。
お互いの創作の価値を理解し合える関係。
さて、馬琴はご家庭の方はかなり放置してたみたいで、お百の不満はそこにもあったと思う。
お百は愚痴こそ止まらないけど、家事は丁寧にやってたみたいだし。
宗伯(息子さん)も心優しい青年に育ってたじゃないですか…お百は「やれと言われたことはできる」タイプで、自分らしい人生に飢えていたんじゃないか。
自分とは対極の生き方をして大成功してる夫は、自分のことを気にかけもしない。
北斎とお百の不思議な距離感も好きです。
床に伏しながらも憎まれ口を叩くお百に、
「その様子じゃ元気そうだな」
と笑う北斎。
その時お百は、自分が生きてきた意味がまったくわからないと言う…。
今際の際に、お百は馬琴の部屋の前まで這ってでも行き、未練の一言を残して事切れる。
本当は最後に、夫の面を一発ぶん殴ってやりたかったんじゃないか。
こんな人生もあるのか…諸々の事情を鑑みて、離婚という選択肢もない。
お百が歪んだ人になったのは、馬琴のような天才が身内にいる弊害でもあったのかも。
板垣李光人くんは可愛いので、今作でも女装してるひと役。
君も天才だ。
宗伯(磯村勇斗)とお路(黒木華)という、まともな人が居てこそ天才は活きる。
創作って…最高。