私と強迫性障害②
自己暗示のための環境づくりに精を出し始めた高校2年生。
ゲームでキャラの一挙一動を指定していた時のように、
今度は自分と環境に対して、こだわりを発揮し出す。
服の感覚が邪魔だな。
私は全裸になった。
こんなところ、家族に見られたらおしまいだ。
部屋の鍵は閉めておく。
部屋の物の位置。
自分に言い聞かせる文章の構成も完璧にしないと。
もし言い間違いでもしたら、底知れない絶望が待ってる。
“完璧”にできなかった時の絶望は何度か経験した。
言い聞かせに集中できる場所ならどこででも、私は自己暗示を行った。
図書館の休憩所。
障害者用トイレ。
高校2年の冬ごろ。
いつの間にやら、私はとっくに、自己暗示なしでは正気を保てないようになっていた。
もちろんこの時点で精神科に掛かるべきだ。
しかしこの時点では、私はまだ自分が病気だとすら気づいていない。
この頃には自己暗示のほかに、「リセット」と呼ぶ行為を始めていた。
“完璧”の基準に従って、自分の部屋の物の位置や自分の服装、挙動などを整理する。
やり直す。
意味はないがとにかくそうしないと気持ち悪くて気持ち悪くて仕方がなかった。
自分のルールに反したときのこの尋常でない不快感こそが、神経症の症状。
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