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『悪の教典』への勝手な私の思い
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今のところ貴志祐介さんの本は『黒い家』『クリムゾンの迷宮』、『悪の教典』を読んだ。
もっと読んだら面白いと思う!
この3作は全部面白かった!
私が大学生くらいの頃に映画化していた『悪の教典』。
漫画化もされまして、私は映画→漫画→原作の順に触れていった。
実はこの順番が一番面白いのでは?
つまり描写が緻密になる順だから。
伊藤英明さんの名演技で、全体のクオリティが上がってる劇場版。
正直一本の映画にするのはぜんぜん尺が足りない。
原作の描写を大幅に削ったと思ったら、映画オリジナルの…IQが0の会話を挟んできたり、原作だとかなり頑張ったやつがダサいまま死んだりと。
もうこの際もっともっと削って、重要なシーンについては丁寧に描写するべきだったんじゃ…映画作ったことないから、作り手の気持ちがわからない…。
うん…『悪の教典』の筋書きは、主人公である蓮見聖司(ハスミン)の冷徹かつ極めて利己的な人生が描かれる。
とある高校で大人気の英語教師ハスミン。
人望も厚く、教師として天才的な才覚を見せる。
いや…魅せる!
男子生徒も含めみんなハスミンにメロメロだ!
問題もたびたび起こるこの学校で、敏腕ハスミンは事件を解決していく。
その裏で…ハスミンは登場した時点で、夥しい数の人間を始末していた。
彼にとって殺人は、理想の人生を生きていくための手段。
ハスミンは先天的な反社会性パーソナリティ障害だったのだ。
実際にある病気だけど、フィクションの世界ではよくラスボスになるよ!
ハスミンのように「サイコパスであること以外完璧」なキャラが多いけど、現実のは…まあまあな困ったちゃんだ…そんなことはどうでもいい。
原作の上巻ではハスミンの暗躍と、生徒たちの様子…もう一人の主人公である、クラスの女の子視点の話など。
豊かな共感能力を持った彼女は、その対極にいる本性を持ったハスミンを直感で警戒していたのだ。
そして下巻に向けての巧妙な伏線が張られる。
一応下巻の展開は上巻の時点では隠されていたものの、映画化する際は思いっきり前面に出しちゃったので、まあそっちがメインだしその方が売れるだろうから…メディアミックスだからね…。
大切なパート(であるはずの)ハスミンの過去編では、幼い段階で自分がサイコパスだと自覚した聡明な少年と、彼の人生に関わる一人の少女との出会いが描かれる。
で、映画版では全部カットされた…あの、このパートでハスミンの、ほんの少しだけ…人間味のカケラみたいなものが見えたりしてね、それが終盤の展開に関わってくるんだけど、マジにそこカットすんの?
【サイコパス、そして大量殺人犯として生きてきた自分に、この世界には居場所なんてない】
これがハスミンの抱える葛藤だったりしたけど、やっぱりそっちもカットだ!
ハスミンはただショットガンで学校内にいる人間皆殺しにする人!
たまたまそこにいた山田孝之も死にました。
あなたに至ってはもうなぜ出たのか。
大切なのはハスミンの犯行動機。
「ちょっとペット扱いしてた女生徒を仕方なく始末したら、足が付きそうになっちゃったので、その場にいた人間全員殺しました」という感じ。
狂気に囚われたのではなく、合理的すぎて…冷静すぎて殺したのだ!
こんなにひどいお話なのに、妙にワクワクしたのも事実ですとも。
個人的には漫画版がすごく面白いからおすすめしたいです。
ちゃんと原作に敬意を払っている。
映画は主演の伊藤英明さんの演技以外に褒められる点がない。
殺戮のシーンでいきなりオシャレなBGMが流れるのが面白かったかも…。
やっぱりメディアミックスって難しいよな…。