◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.5 禅とお茶)#37
中国の宋で禅を学んで帰国した栄西(えいさい)が日本で最初の茶の聖典とされる「喫茶養生記(きっさようじょうき)」を書いたのは鎌倉時代のことでした。
喫茶養生記は「茶は養生の仙薬なり」から始まります。当時のお茶は嗜好品ではなく、健康のための貴重な薬だったのです。
健康を保つ根源はお茶の養生だと教えています。その養生をどうすればよいかというとお茶を以って五臓を健全にするという考え方でした。五臓のうち特に心臓がその中心で重要であると記されています。
陰陽五行では、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓が互いに助け合い、抑制しあって身体の健康を維持していると考えます。
その五臓の心(心臓)を保つには五味でいう苦味を与えることになります。
陰陽五行で云う心(心臓)を健全にするためには茶をもちいるのが一番の妙術だと伝えています。
心(心臓)が衰弱すると、五臓のすべてが病を起こす為、心は君主の官とも呼ばれています。
お茶という自然界の薬を以って心を保つということですね。
この栄西が鎌倉幕府第三代将軍源実朝(みなもとのさねとも)に二日酔いの薬として茶を献上したことを「吾妻鏡」には記されています。
鎌倉時代には禅寺で「茶礼」という儀礼が中国から取り入れられたり、武士の間でも日常的に茶を嗜むようになりました。
お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。
おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。
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