にじいろのさかな
📘『にじいろのさかな』 1995
マーカス・フィスター 作
谷川俊太郎 訳
ぼくはこんなにきれいなのに、どうしてだれにもすきになってもらえないんだ?
にじいろにかがやくうろこをもった、世界でいちばん美しいさかなは、ひとりぼっちでさみしいさかな。
🖌️
世界中を探しても、自分がいちばんかがやいている。
注目を浴びて声をかけられても、返事もしない。その必要もない。
自分のかがやきをみて、すてきだといってくれるものにも冷たい。
かがやきは分けられない。かがやきが減ってしまう。失ってしまう。
世界中を探しても、自分がいちばんかがやいている。
かがやいているのは、自分だけでいい。
「とっとと あっちへ いけ!」
その言葉は、ひとりぼっちになってしまう言葉。
ひとりぼっちになって、助けてくれる人に出会えるか。
かがやいているからといって、導いてくれる人にであえるか。
ひとりぼっちの自分。変える方法はある。
声をかけてくれる人に、かがやきを分け与えよう。
かがやきは、分けるたびに減っていく。
だが、しあわせになれる。
しあわせはしあわせを呼ぶ。
かがやきは、しあわせと同じことなのだ。
外見ではない。内面が大事なのだ。
・・・しあわせなら。
かがやきは、どんなに分け与えても減らないこととなる。
しあわせは増え続ける。