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牛の嫁入り

昔、沖縄の首里という所に、とても美しいつる子という娘と母親が住んでいました。
母親は、つる子の幸せを願い、神社へのお参りを続けていました。ある日、村の意地悪息子はこの事を知り、つる子の母親の先回りをして神殿に隠れ「帰り道に出会った男とつる子を結婚させるがよい」と言いました。母親は神様のお告げを喜びましたが、帰り道に出会ったのは意地悪息子でした。つる子は「神のお告げなら仕方がありません」と、嫁に行くことにしました。つる子は月夜の晩に迎えのカゴに乗って出発しました。カゴを担いでいた男たちが、道中酒に酔って寝込んでいる途中、通りがかった若者がつる子に事情を聞きました。若者は、つる子の代わりに黒い子牛をカゴに入れて、つる子の手を引き、どこかへ連れて行きました。やがて目をさました男たちは、カゴを担いで、夜明け頃に意地悪息子の家に到着しました。カゴの中に入っていたのは子牛です。意地悪息子は腹を立て、つる子の母親に子牛を突き返しました。何も知らない母親は、つる子が子牛になってしまったと、悲しみながらも、子牛をとても大切に可愛がったのでした。
やがて季節が変わり、首里城で御前舞踊が開催されるというので、母親も子牛を連れて見物に行きました。すると、役人が母親のところへやってきて、奥御殿へ連れて行きました。何とそこには、美しく着飾り、王妃になったつる子がいました。あの若者は首里城の王子だったのです。母親は、つる子からこれまでの出来事を聞いて涙を流して喜びました。そして母親も首里城に住むようになり、いつまでも幸せに暮らしたのでした。(子牛もね。)d

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