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家なき子

📕『家なき子』(SANS FAMILLE)
マロ(Malot)
1878年

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孤児の少年レミが旅芸人のおじいさんに引き取られ、いろいろなところを旅し、たくさんの出会いを通して成長していく物語。幾度も映画化され、日本でのアニメ化も多い。日本での初訳は明治36年(1903)で、五来素川により『未だ見ぬ親』の題名で読売新聞に連載された。

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わたしは捨て子だった。 でも八つの年まではほかの子どもと同じように、母親があると思っていた。それは、わたしが泣けばきっと一人の女が来て、優しくだきしめてくれたからだ。…とにかくわたしが子どもの時代を過ごした村は、シャヴァノンという村で、それはフランスの中部地方でもいちばんびんぼうな村の一つであった。
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「パリへ行っておれの人が変わったかしれないが、そこはおれを半殺しにもした。おれはもう働くことはできない。もう金はない。牛は売ってしまった。…がきを養うことができるか」「あの子はわたしの子だよ」「あいつはおれの子でもないが、きさまの子でもないぞ。それにぜんたい百姓の子どもじゃあない」
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パリから戻った男はレミを孤児院に出すという。女は反対する。レミは孤児院には行きたくなかった。その願いは叶うが、旅芸人のヴィタリス老人が四十フランでレミを買った。レミは大事な女に別れを伝えることもないまま、村を出る。レミは旅芸人の一員となって、猿のジョリクール、犬のカピ、ゼルビノ、ドルチェとともに、フランス中を巡業することになる。

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わたしのだいじにしていた畑の一部には、だれかにもらっためずらしい野菜を植えている。それは村でほとんど知っている者のない『きくいも』というものであった。…わたしの『きくいも』をだれが食べるだろう。

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