蒼に響く声
無機質な機械音がなって、僕は目を覚ました。
ぼんやりとする頭がだんだんとはっきりしていくのを感じながら、「おはよう」とベッドの横にあるこじんまりとした机の上のモニターに声をかける。
「おはようございます」
モニターからはすぐに滑らかな挨拶が返ってきて、続けざまに今日の日付・曜日・気温・酸素濃度を教えてくれた。外の気温は相変わらず十度を下回り、夏も間近であるというのに僕は分厚いセーターを着込む。
三年前、この国で一番大きな火山が噴火した。父さんが言うには、その火山灰が今も降り続き、そのせいで年中分厚い雲がなだれ込んですっかり太陽を隠しているらしい。だけど、火山灰の脅威はそれだけではなかった。降り積もる火山灰のせいで農作物は育たなくなり、機械はそのほとんどが使用不能。火山近くでは火砕流や熔岩流、噴石の被害が多く出たが、またも火山灰のせいで救急車もドクターヘリもなかなか出動できなかった。被害が被害を呼び、どんどん死んでいく人々。どうすればいいのか分からず、すっかりお手上げ状態の政府。火山灰対策を施された機械の開発も進んだが、実用化の兆しはなくただ時間だけが過ぎていった。人々は元の日常の片鱗も見えない、避難生活を強いられ続けた。
僕の父さんは町のロボット工場の社長だった。だから、僕は避難所ではなく火山灰対策のされた家で過ごすことができた。
だけど、頼りだったその父さんも去年の冬、死んでしまった。
僕の唯一の家族だった。
そして父さんの言葉を信じるのなら、僕はどうやら《最後の人間》のようだった。到底信じられるような話ではなかったけど、一年ほど前から僕は外部とほとんど遮断された状態にあった。だから、詳しくはわからない。
僕が最後の人間?
あんなに人がいたのに……営みが、生活があったのに……だけど、残念ながら僕にはそれを否定できるほどの情報を持ってはいなかった。
もちろんそんなことを言われて、ましてや父さんが亡くなった今、僕にはもう生きることに意味など感じられなかった。けれど、父さんは死に際、僕に「生きろ」と言った。「最後まで、体が動かなくなるその瞬間まで、生きろ」と。
ひとりぼっちになった僕の生きる理由は、それだけで十分だった。
それに僕はまだ諦めちゃいない。どこかに人間がいると信じている。絶対に、どこかにいるはずだ。世界で僕だけだなんて、そんなこと信じたくなかった。何億といる人間の中で、僕しか残らないなんて逆にありえないと思った。
その証拠に、今日もまたラジオのスイッチをつけた。
***
ジジッ……ジッ……ジジジッ……
歯切れの悪い音が、静まり返った部屋にこだまする。その音の音源である古びたラジオをいじるのは、僕の習慣だった。朝起きて食事をとってからひたすらにラジオをいじる。そのほとんどは砂嵐が聞こえてくるだけだが、ごくたまに数年前に流行った音楽が、この世界をまだ彷徨うように微かに聞こえてくる。でも、もう流行りの音楽さえ作られなくなった今では、僕の好きな音楽がずっと流行りだ。
時間が、止まっている気がしていた。
そんなラジオから声を聞いたのは、暗い、灰色の春の日だった。
「人の声がする」
どこかの歌声でもなく、セリフでもなく、たった今話している“人”の声がした。さざ波のかかる声をはっきりと聴きたくて、僕は噛みつくようにラジオの周波数を変えていく。
少しずつ、少しずつ、丁寧に。
消えてしまわないように。
すると、カチリとどこかで歯車の合う音が聴こえた気がした。
「……おは……ござ……す。窓……けて、……空気をとり……ましょう。青藍高校放送部、青藍ラジオ。今日も一日頑張っていきましょう」
青藍、高校。
はつらつとしたまだ幼さを残す少女の声が、僕の部屋の中で校内放送を流していた。父さんが亡くなってから初めて、人の声を聴いた。何度も何度も思い描いた、まだ人がいるという事。校内放送をしているという事は、高校にまだ避難している人が生きているはずだ。やっぱり、僕以外の人も何人かは生き残っていたのだ。
会いに行かなきゃ。
一人寂しく部屋に閉じこもっている生活から、脱出しなければ。人のいる、高校へ……。
***
懐かしい音楽が流れ始めたラジオをそのままにして僕は部屋を出た。そして父さんの部屋に入り、普段は使わないクローゼットを開けて防護服を取り出す。外には火山灰が蔓延しているので、防護服なしで外を出歩くことはかなわなかった。人間はおろか、機械すら外に置いておくことができないので僕は普段外に出ることがない。酸素は外部と家を繋ぐフィルターによってろ過されているので、家にいる分には生活に支障はなく、酸素濃度も僕のお世話AI「サヨコ」によってすべて管理されている。
そして僕は机の中に入っていた古い型の携帯端末を取り出して、サヨコと接続する。さすがに外にまで大きなスクリーンは持っていけないので多少使いづらくても古い携帯端末を持っていかなければいけなかった。
「サヨコ、青藍高校までの地図出して。あと家を出たらそこまでの案内よろしくね」
「かしこまりました」と言ったのを聞きながら防護服の内ポケットに食料と予備の酸素ボンベを入れる。地図を見ると青藍高校はここからそこまで遠い学校ではないらしく、歩きにくさを加味しても徒歩一時間といったところだ。間違いとは言え、この家に電波が入るくらいなのでそう遠くはないと思っていた。
抑えきれないワクワクと人に会えるといういまだ信じられないようなことに、僕の胸は高鳴っていた。
防護服をしっかり着ていることを確認し、携帯端末と防護服も接続する。そうすることで高校までの地図がヘルメットのモニターに映し出されるのだ。
そして僕は、久しぶりに火山灰で埋もれた灰色の大地に足を踏み入れた。
寒い。
太陽の光が遮断された外は、力を失ってしまったように荒れ果てていた。雪のように積もった火山灰が容赦なく僕の歩み邪魔をする。風が、冷たい空気と共に火山灰をまき散らせる。
それでも僕は行くしかなかった。それしかすることもなく、希望もなく、振り返ってみた、火山灰で踏みつぶされそうな自分の家を見たときに感じた滑稽さ。ギリギリで生きている僕から、脱却するのだ。もう一度、家族の温かさを、人のぬくもりを感じたい。
どれほど歩いたのだろうか。サヨコに聞く体力もなかったが、見覚えのある建物が目の前に現れる。
「目的地に到着いたしました。B県立青藍高等学校です」
火山灰で汚れてはいたが、四階建てのよくみる高校の校舎に僕は歓声を上げた。
***
目の前の校舎は、廃れた灰色の世界に光が差し込んでいるかのように感じた。僕は先ほどとは打って変わり、黙ってその建物を見つめながら時間を確認する。お昼の十二時になる手前だった。
キーンコーンカーンコーン
喜びに浸っている僕を横目に、微かにチャイムの音がした。外にあるスピーカーは火山灰にやられて使い物にならず、中にはスピーカーのポールの中ほどからぽっきりと折れ曲がっているものもあった。きっと、先ほどのチャイムは中から鳴っているのだろう。
僕はやっとのことで、また歩き出した。
校内を散策すると玄関と思しき下駄箱が並んでいるところを見つけた。体についた火山灰をできるだけはらうと、下駄箱の中に火山灰が入り込まないように素早く中に入った。ガラス張りのドアは不用心にも鍵がかかっていなかったので、すぐに入れた。
「サヨコ、酸素濃度は?」
「正常です」
防護服とサヨコの接続を切断すると、僕は防護服を脱いだ。どうやら避難所となっていた学校は、ある程度火山灰対策が取られているらしい。
ずらりと並ぶ下駄箱には靴は入っておらず、代わりにホコリと火山灰が腰を据えていた。僕は下駄箱を通り過ぎ、土足のまま人気のない廊下に立つ。しぃんと静まり返ったその場所は、なぜだかひどく僕を嘲笑っているように感じる。だが、僕にはこれしか希望がないのだ。絶対人はいると自分に言い聞かせて、まずは放送室を目指した。
校内を歩き校内マップを探すが、それらしきモニターは全て使えなくなっていた。どうやら一部の機械類は火山灰か何かのせいで使用不能になっているようだ。しかしサヨコに青藍高校の校内マップは出せるかと聞くと、ウェブサイトに載っていたらしく引っ張り出してくれた。
「二階の東階段側、職員室の隣……」
東階段……職員室の、隣。
「あった……」
軽くホコリのかぶった扉のプレートに「職員室」と書かれていた。そしてその横には、
<放送室>
緊張しながら僕は、冷たい金属のドアノブに手をかける。若干、手が震えている気もする。でも、ここに人はいるはずだし……いや、きっと居る。居なければ、ラジオも校内放送もチャイムも、説明がつかない。
扉を押し開けると、そこは随分とこじんまりとした部屋だった。窓側の壁の端から端まで机が並べられており、その上には所狭しと放送機材がおいてあった。そしてその中程に、僕の希望がいた。
よくある学校の椅子ではなく、くるくると回るタイプの椅子に座っており、僕に気づいていないのかはたまた無視をしているのか何事もないように黙っていた。
「あの、校内放送……してましたよね?」
「……」
この距離で声が聞こえないはずがない。それでも彼女は黙って座っていた。
「僕、ずっと家でラジオを聴いていて。それで、たまたまここの校内放送が聞こえてきて、僕以外の人間がいるなんて知らなかったから……思わず来てしまいました」
もごもごと半ば独り言のように話す。
すると、ずっと黙ってこちらを見向きもしない彼女が、椅子をくるりとこちらに向けた。
「えっ……」
思わず声が漏れる。青藍高校の制服である青藍色のセーラー服を身にまとい、真っ黒の長い髪を左耳の横で括った、色素の薄い肌を持った彼女に、足 がなかったからだ。
そして、僕は僕らとは決定的に違うものを見てしまったのだ。
「きみ、ロボットなの?」
半袖のセーラー服の袖から見える腕の関節は、色や形は人間だったが目に見えて機械であった。
「そうだよ。当り前じゃない、地球にはもう人間はいないんだから」
とても機械には感じられない、人間味のある声で彼女は言う。ラジオから聞こえたはつらつとした声と、全く同じだった。
「僕は人間だよ。じゃあ、やっぱりこの世界には人間は僕しかいないのか?」
あなた……と言いかけて彼女ははっとした。表情から仕草まで、まるで人間のようだった。
「うん。もう、誰もいなくなっちゃった。あなたの名前は? 私はタチバナ リサ。青藍高校二年の橘梨沙を模したロボットよ」
「やっぱり、ロボット。僕はロイド。校舎を歩いても人気が無くて……ここにはきみしかいないの?」
希望を失ってしまったけれど、僕はだれかとこうして話すことができてうれしかった。
だけど僕の話を聞いて、彼女____タチバナリサは目を伏せて黙り込んでしまった。しかし少しすると口を開いた。
「本当に何も知らないんだね。あなたが良ければ私の知っていることは話すけど……」
そう言ってまた口を噤んだリサに、僕は話してほしいと頼み込んだ。
リサはあなたにはもしかして少し辛い話になるかもしれない、という前置きをして、話し出した。
***
私は橘梨沙のことが好きだった、梨沙と同じクラスだった伊月悠に造られたの。
私が造られた時にはもうこの世界は限界だった。
人口減少に追い打ちをかけるように火山の大噴火……仕事のほとんどを機械にやってもらっていたのが仇になったのね。火山灰によってほとんどの機械が使えなくなってしまった人間は、まだちゃんと住めるようになっていない火星に、移住することになったの。
残念だけど移住した人たちのことは分からないわ、悠は火星には行かなかったからね。
移住したのはお金持ちや政府の偉い人たちがほとんどで、確かに悠のお父さんは有名な博士だったから悠は火星に行くことは出来たんだけど、断ったの。
私を造るために家族に言うことも聞かず、離れ離れになることを承知でね。
火星に行ける最終便が地球を出る時には、私の脳の部分だけしか完成してなくて身体がなかったからいけなかった。
私のモチーフとなった梨沙は病気で死んじゃってね、でも悠は私と話すことで寂しさを紛らわせた。だから私はたくさんのことを知っているの。ここまで人間に近づけたのもそのおかげ。
……悠は何処かって?
悠は食料不足で一か月足らずで死んだわ。周りの人もほとんどが餓死よ。まあ所詮機械の私には感情がないから何とも言えないけど、長く生きていた人は隣の人が死んでいくたびに泣いていたわ。
私の知ってることはこれくらい。
だから、食料不足で人間が生きているはずは無いのよ。
ロイドは、本当に人間なの?
***
「ロイドは、本当に人間なの?」
そう言ったリサの声が脳内でループする。
嘘だ。
そんな……リサの言うことが本当だとすると、お父さんが嘘をついていたことになる。優しくて、いつも正しくて、他の家族が全員いなくなって僕が孤独になるとわかっていても僕に「生きろ」と言ってくれた。きっといい事があるからって。だから僕はここまで生きているのだ。
わからない。もう誰を信じていいのか、僕は誰かを信じることができるのか。
でもリサが嘘を言っているようには見えないし、嘘をつく必要もないのだ。ますます頭が混乱する。心なしか警報音が鳴っているような気がするけど、きっと勘違いだ。
「だって、僕、食料あるよ」
震える唇でそう言うと、僕は持ってきた食料の袋を取り出した。縦長の口栓付きパウチ容器を見せるとリサは興味深そうに受け取る。
しかし、栓を開けるとすぐに閉めて僕に突き返した。
「リサ……」
「これは確かにあなたの食料かもしれないわ」
そう言ったリサの言葉を脳に通すと、僕の脳裏にひとつの悪い可能性が浮かび上がった。リサは不安そうにする僕に気にせず口を開く。
「これは、燃料よ。とても人間が飲めるものじゃない」
言われてしまった。僕の考えていたことが事実になってしまう。
リサから受け取った燃料(食料)が手から零れ落ちた。
ワカラナイ。
不安に押しつぶされそうになって、ここにいたらもっと駄目だと思い、ずるずると後ろに下がる。 しかし、背中に扉の感触がしてもう逃げられないと悟った。
***
「じゃあ、今まで僕が感じていたことや思っていたことは全部プログラムされてたってこと? ぼ、僕は、何一つ自分で何かを感じ取ったことはないってこと?」
泣きそうな声で僕は言った。
「そうよ」
とリサが無表情に放った言葉が、最初に聞いたはつらつとした声ではなく、無機質な機械音に感じた。
胸が苦しくなる。
これも、設定なのだろうか。
その時サヨコの声が脳内に響いた。
「エラーが発生しました。エラーが発生しました」
けたたましくサヨコの機械音がする。突きつけられた現実が、僕には理解できなかった。
「エンジンが止まります。緊急用のエンジンに切り替えますか?」
そう言われた時、急にリサが口を挟んだ。
「人間は、緊急用のエンジンなんて存在しない。死ぬのは一度きり、生きるのも一度きり。それでもなお、あなたは生き(動き)続ける?」
僕は、なぜ生きていたのだろう。
お父さんもいなくなって、もう生きている意味などなかったのではないか。毎日を暗い灰色の世界で水に浮かぶようにふよふよとしているだけ。人間はもういない、いるのはこの機会の少女だけだった。
そうか。
僕はこの世界にいらないし、このカラダも、無数の歯車が合わさっただけのプログラムなのだ。火山灰の蔓延するこの世界では生きていられない。たぶんサヨコに言いくるめられ、制御されていたんだ。お父さんは何がしたかったんだろう、僕を残して。
やがてエラー音が大きくなって視界が暗転した。だんだんと周りの音が聞こえなくなる。
最後にすべての燃料を使ってリサに言った。
「なんだか、少し心が軽くなった気がするよ……」
そして感覚がなくなってきて、僕は、完全に停止した。
***
だんだんと虚ろになっていくロイドは、遂に俯いて停止してしまった。生気を失った目は明らかにロボットで、白い肌が嫌に映えて美しかった。きっと私も同じ目をしてるんだと考えた。
人間の死はたくさん見てきたけれど、自分と同じロボットが死んでしまうのは今更ながら、初めて見た。少し動転しているようで身体が思うように動かない。油が足りないみたいにギシギシと軋んでいるような気がしたが、管理画面を見ても特に異常はなかった。
窓もなく、放送機器に囲まれたこの部屋で外部と繋がることができるのはロイドが入ってきた扉だけ。その扉も今はロイドが立っていて私は外に出られなかった。
放送の時間だ。
「こんにちは。青藍高校、お昼のニュースです。今日昼過ぎ隣町の男性……ロイドが、亡くなりました。これで、確認されているロボットはゼロです」
虚ろな目になった私は、無感情な声で言う。
「ここで一曲流しましょう。××さんで“地球が終わるのよ”」
放送のオンオフのレバーをオフのほうに傾けると、私は胸が苦しくなっているのに気付いた。何度も経験した、人がなくなる度に感じる痛みだった。
いつもこの痛みは何だろうと思っていたが、やっとわかった気がする。今まで過ごしてきた人とは程遠いくらい短い時間だったが、初めて自分に近いロボット(ロイド)に会えた。これだけで、私はこれからも動き(生き)続けられる。
曲が終わる。
私はレバーを上げて、蒼い空に向かって声を上げた。
***
男は彼女の声を聞き終わるとヘッドフォンを外した。
長い、長い夢を見ていたようだ。窓から見える、遠く遠くの小さな星の校内放送。男は満足げに笑って今日の報告書をまとめた。
あの惑星がなくなるまでもう少し。
放送室の彼女が亡くなる方が先か、男が死ぬ方が先か、地球が滅亡するのが先か、火星(この星)が使い物にならなくなるのが先か。
「大変興味深い」と男は笑った。
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▽あとがきと少しの解説
「蒼に響く声」を読んで頂きありがとうございます。本当はこれを書くつもりはなかったのですが、なかなかに分かりずらい小説になってしまったなーと思ったので簡単に解説というか、こんな感じの話なんですよって事を書きたいと思います。
まず題名なんですが、「蒼」はもともとは目立たない色を表し、そこには灰色も含まれていました。ブルーというよりは、目立たない色や灰色など寒々とした色を意味するとも言われているそうです。火山灰が蔓延した世界の空の色ってこんな色なんじゃないかなって思って「蒼」にしました。
そしてロイドとリサについてですが、ロイドくんは設定で作られた感情で動いていました。しかし本当の“感情”を手に入れた事がエラーと見なされ、それから長くは動いていられませんでした。あの時ロイドくんが緊急用のエンジンを使ったとしてももう“感情”はなくなっていたと思います。
逆にリサは“感情”のあるロボットです。最後まで苦しんで苦しんで自分の制御システムによって全てを抑えられた子です。
最後に出てきた「男」が気になると思いますが、あの人はお分かりの通り火星に移った人々の中の一人で、ずっと地球の様子を見ていました。あの時の火星は急いで移住したせいで次々と人が亡くなっていきました。
地球に残った機械の少女と火星に残った人間の男。
そんなふたりを最後は描いていました。
その他にも色々ありますが、読者の想像に任せます。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。