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ページをめくるたびに紡がれる物語【オノマトペアート鑑賞ツアー@三島満願芸術祭 カフェ ラ・ペー】

2024/11/4(月・祝) 
オノマトペアート鑑賞ツアー@三島満願芸術祭

【作品概要】
水戸部 春菜 『きおくのきろく』
2024/ミクストメディア
会場/カフェ  ラ・ペー

これまで人や動物などを主なモチーフに、動きを映し取るような特徴的なドローイングを制作してきた水戸部は三島に訪れるなかで、この地域で古くから愛されていたカフェ ラ・ペーに出会いました。本作では水戸部がこれまでの手法を踏襲しながらも、ラ・ペーのオーナーや三島の人々との出会いを通じて、閉店してしまったこの場所の新たな姿を、ここを訪れた人々とのコミュニケーションを通じて描き出すことを試みます。(三島満願芸術祭2024 パンフレットより)


冊子を開くとカフェ ラ・ペーにまつわるノスタルジックな写真が次々と現れます
三島を知る人にとっては「あー、これ、あったねー」と懐かしく、しばらく間、釘付け
大きなテラスのあるかつての建屋は、今見てもモダンな造り


みんなのオノマトペ

午前
キーン キーンカーン チチッチチッ バアーッ! ふわふわ きゅんきゅん 
ふわふわ ファーッ! ニコニコ

午後
ぽわーん ぽわーん カタッ…コトッ… ふわっと もわーん ジワ~ン 
どーん とんっ じーん


それぞれが、写真に向きあう時間


まとめ

展示会場となっている「カフェ ラ・ペー」は、かつて俳優や政治家が集うことで有名なカフェだったといいます。

以前は広い庭のある談話室のような喫茶店で、昭和天皇も訪れたこともある格式高い三島の文化の拠点でした。

作家の水戸部春菜さんが三島で作品のための調査を進める中、出会った「カフェ ラ・ぺー」には、その時代の記録写真が多数残されていました。
今回の作品は、その写真を一冊の冊子に丁寧にまとめ、その「きろく」から「きおく」を引き出す展示でした。

喫茶店として営業していたままに残された店内中央に机と椅子が用意され、ヘッドフォンを装着してページをめくります。
冊子には、写真が1ページに1枚ずつ印刷されていて、余白に写真から感じたことや知っていることを書き込みます。
ヘッドフォンからは、「夕焼け小焼け」をリミックスした音楽が流れて、ページをめくるごとに写真の中に入り込んでいくようです。

そこから感じた感覚をオノマトペで表現してもらいました。

「キーン」「キーンカーン」は、静かな世界の向こうから聞こえてくる音。
「チチッチチッ」は、ページをめくる時に写真が入れ替わる時の音。
「カタッ…コトッ…」は、写真のイメージの中で微かに聞こえる物音。
何人かの人が、写真を見ながら静かで広い空間をイメージしていたようです。

そして、「バアーッ!」「ファーッ!」「ふわふわ」「ふわっと」「もわーん」など光が差してくる瞬間や温かい空気が立ち上がるような感じなど、特に具体的なイメージはないのだけど、やさしくてあたたかいものを感じている方もいました。
一方で、「どーん」という重さを感じている人もいて、何か大きな重量のあるものを写真から受け取っているようでした。

他に「きゅんきゅん」「ジワ~ン」「じーん」と心に感じたものを言葉にしてくれた方もいました。

「写真の中の男性の視線に凛とした意志を感じる」
「若い女性の集合写真を見て『楽しそう』」
「坊主頭の若い男性の写真を見て『同級生かな?』」など、
写真の中に写し撮られたワンシーンから、そこに写っている人の物語を受け取って、そこにいた人の気配や意識を感じているようでした。

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