繰り返し続く遥かなるもの 【オノマトペアート鑑賞ツアー@三島満願芸術祭 佐野美術館庭園隆泉苑】
2024/11/4(月・祝)
オノマトペアート鑑賞ツアー@三島満願芸術祭
【作品概要】
小林万里子 『生命は、絶えず流るる水と共に』
2023/木綿、麻、藍
会場/佐野美術館庭園隆泉苑
三島のまちの中を流れる川は市民の手によって環境改善がなされ、現在の豊かな自然環境が保たれています。その水は富士山の湧水から始まり、海を抜けて雨となって大地へと循環し、人間をはじめ様々な生き物の生命を支えているものです。本作ではそんな目には見えないけれども繋がっている生命の流れが、三島に生息する動植物をモチーフに表現されています。(三島満願芸術祭2024 パンフレットより)
みんなのオノマトペ
午前
ぷくぷくぷく ユラユラ キラキラ ずんずん ゆらゆら スーーーッ グワッ
さらんさらん りんっ ピチャ さらさらー ぴちゃぴちゃ サワサワサワー
スイスイ ばばーん! ワイワイ スラ~スラ~ ブーーン すうー
午後
ザザザッ! いきいき ピーーーン しーん さらっと フワリ ゆらゆら
さらさらーーさらさらーー ポチャン。 ゴォォォー そよそよ シーン
しーん すーっ さわさわ ザァー サラサラ さーあ
まとめ
街歩きをしながら、たどり着いた佐野美術館庭園。
作品は川のせせらぎと鳥の囀りが響く中、木立が光を遮る落ち着いた森の真ん中にあります。
横に長い布に描かれているのは、三島に棲む生き物たち。
メダカや蛇、鴨やカワセミ、トンボや蝶、バイカモなど三島の清流が育んだ生き物たちが露光の技法を使って青写真のように白抜きで布に転写され、風にたなびいています。
青色の布は横に長く、風にゆらゆら揺れて、川のように見えてきます。
「スーーーッ」「すうー」「ユラユラ」「キラキラ」「さらさらー」「さらんさらん」「スラ~スラ~」となめらかに流れる水を連想させる言葉がたくさん出ました。
さらに、「ぷくぷくぷく」「ピチャ」「ぴちゃぴちゃ」「スイスイ」「ポチャン。」「いきいき」「グワッ」などその川に棲んでいる生き物の動く姿や鳴き声をイメージする言葉もありました。
そして、「サワサワサワー」「そよそよ」「さわさわ」と風のイメージ。
「さらさらーーさらさらーー」「フワリ」「さらっと」など布が風にはためくイメージもありました。
風や光から感じる、心地良さが作品鑑賞に強く作用しているようでした。
また、スーーーッといった流れの印象には、過去から現在、上流から下流といった「途切れなく続くイメージ」があるとコメントがありました。
過去から現在に至る長い時間の中で繰り返される命の営みを作品から感じている方が多く、今の三島にある豊かさをじんわり感じることができる作品でした。
そして、作品に観入る一瞬の静けさを「しーん」と表現してくれたのは、最年少のみーちゃんでした。
「そこにはない」何かをしっかりキャッチして教えてくれたことに大人たちは、ハッとさせられました。
たくさんの生物がいるけどそこには黙って命を全うする「しーん」とした静寂がある。
そこには私たちが気づかないたくさんの命の営みがあり、今も息づいている。
この世界の豊かさに胸が熱くなりました。