水曜、夜のメメント・モリ 第九回
日本に生まれて良かったと思う理由の最たるものとして、四季があることが挙げられます。
私は、冬が苦手なのだけれど。苦手なものも楽しみ方がわかれば、それなりに付き合っていける気がしている。ので、少しずつ冬に気を許している。そんな今日この頃。
・いつも突飛に動くことが多いから周囲に誤解されるが、地道な暮らしが好きである。こまめに部屋を掃除するし、常備菜もストック。スーパーで買った野菜やお肉は、使いやすいように下処理して保存している。冬は、根菜や葉物野菜がお手頃で、ついたくさん買いすぎてしまいがち。
・「何か食べたいけど何食べたいかわからない」問題を、旬の食材で献立構築することにより解決した。例えば、夏はナスの煮びたしをよく作ったし、秋はキノコ類が美味しいからバターや醬油炒めにしていた。冬は、根菜をポトフにしたり、大根やカブを炊いたり。寒いから、鍋物もいいし、豚汁もいい。
・正月は、毎年朝に皆で餅つきをして、地元ならではのお雑煮を一緒に食べる習慣がある。あんこが入ったお餅を白味噌で作ったお味噌汁に入れて食べる、ちょっと変わった雑煮だけれど、私は結構好き。来年にやりたいことはいくつか決まっているが、「自分でお雑煮を作って食べる」が一番始めの目標。
・シェアハウスの個室で暮らし始めて一週間。あまり他の住人とは交流もなく、半一人暮らしと言えるだろう。存外寂しがりやの自分としては、人と話さず、けれど人気はあるくらいの状態が居心地いいかもしれない。個室も決して広くはないが、清潔感のあるいい部屋だと思う。なにより、いつでも出ようと思えばどこにでも行ける、くらいの感覚が心地いいのだ。
・一人(個室)暮らしを始めてから、料理に拍車がかかった。占有してもかまわない冷蔵庫をゲットしたので、こうなればもう好き放題である。一段目は常備菜のストックと豆腐・納豆、二段目は下処理した野菜たち、三段目はいも類と部位ごとに切った大根………といった具合に使い倒している。趣味を堪能できる自由は、おひとりさまならでは。
・最近気づいたこととして、どうやら私は料理が好きならしい。仕事から帰宅して常備菜を作ろうとキッチンに向かうことが苦ではないのだから、嫌いということはないだろう。料理が好き、といっても大雑把な性格なもんでして。「炊飯器で煮物作っちゃお~」「白菜と塩昆布、オリーブオイルをジップロックにぶち込むぜ」くらいの単純レシピしか作りません。生きるための行為なんてのは、これくらいの気軽さでいいのだ。
・またまた料理の話。料理中、手を動かしている時はただただ静かで好きだ。向き合う対象はお野菜とかお肉とか息をしていないものばかりで、手を動かせば「なにか」にはなっている。酷く病んでいる人は、空の青さやJ-popの明るさに死にたくなりはしても、玉葱を切っている最中は死にたくなりはしないんじゃないかな。少なくとも、私はそう。
・インドア派の私は、部屋にいる時は音楽を聴いていることが多い。メイク中とか、ソシャゲに飽きちゃった時とか、何かしら流している。最近は、丁寧な暮らしがしたい時に日食なつこさんを、一人が寂しい時はsyrop16gを。無性に悲しくってどうしようもない時は、amazarashiを聴いている。特に、amazarashiは誰にも打ち明けない感情を漏らしたい時に聴いているから、ある意味では自分の弱さを一番知られている音楽だ。
自意識が強く、常に「自分の思うそれなりの自分」でいることに懸命な私は疲れやすい。
「生活をこなして、暮らしに余白を持って、凛と背筋を伸ばしていること」を己に強いているため、何かと気を張っている。
それはそれとして、生活に達成感を作って、暮らしに小さな楽しみを増やして。
慌ただしく日々を過ごしているうちに、「あ、もうこんなに時間が経ってたんだ」と気付いて最期を迎えているくらいでいたいものです。
来年は、更なる実りがありますように。