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市民農園のセルフ土壌診断(カルシウム・マグネシウム編)
暖かくなりましたね(2022/4)。
ベランダのブロッコリーが満開になりました。
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ブロッコリーの花は花束みたいできれいなので、毎年観賞用に一株残しておきます。これは去年の秋に植えたもの。緑の食べるところがにょきにょき伸びて、花を咲かせます。
さて、前回の記事では畑の土壌のPH、窒素・リン酸・カリを測定したのですが、PHが7.2と、どうにも高すぎで。
きっと、去年の区画の利用者、もしくは市民農園の管理者が石灰入れすぎてるんじゃないかと思います。
肥料の要素
肥料の要素は、必要な量に応じて区分けがされています。
三要素: 窒素、リン酸、カリ
二次要素: カルシウム、マグネシウム
微量要素: マンガン、ホウ素、その他
カルシウムは肥料のくくりですが、PH調整材として石灰(カルシウム)をドカドカ入れて、バランスが崩れることが多い。石灰以外にPHを上げる適当な資材がないのが困ったところです。気を付けて入れなきゃいけませんね。
カルシウム・マグネシウム診断キット
いったいどのくらい入ってるの?ということで、測定してみることにしました。
使用した試薬はこちら。(おや、aliexpressのリンクが貼れるようになった)
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これはアクアリウム用の試薬なのですが、土壌診断に使えないか試してみました。
お値段は送料込みで約5,000円。説明がないのですが、最大50回分ですが、検体の成分の濃さにもよって回数が減ってきます。一検体あたり150円くらいでしょうか。カルシウムとマグネシウムが一緒に測れるので、たぶん安いと思います。
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こちらの試薬は中和滴定(試薬何滴で中和できるか)で測定します。
今回は、前記事で紹介したFloc-EXタブレットで土壌溶液を抽出しましたが、クエン酸・精製塩1%溶液を用いる手法もあるようです。これならその辺で材料買ってきて作れますね。今度試してみたいと思います。
カルシウムの測定
土壌溶液に試薬①&②を入れると、赤くなり。
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これに試薬③を1滴ずつ入れていきます。すると、8滴入れたところで青に!
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手品のようです。化学赤点野郎の私にとっては神秘でしかありません。
このように色が変わった時の滴数で成分濃度が判定できます。
マグネシウムの測定
要領はカルシウムと同じです。試薬①を土壌溶液に入れると赤くなり。
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試薬②が2滴で緑になりました。
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測定値の計算
測定値の出し方については、製品マニュアルを自分用に翻訳したので、参考までに末尾に載せときますね。測定結果はこちら。
カルシウム: 96 g/m²
マグネシウム: 48 g/m²
※ mg/100g = g/m² (作土10cm)
このような値となりました。単位の変換はざっくり。
測定値の評価
が、今さらですがこれは多いのでしょうか少ないのでしょうか。
基準が分からないので調べてみました。
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果菜類が比較的カルシウムを多く吸収する作物のようです。
例えばトマトは(単位を合わせると)カルシウム:26 g/m²、マグネシウム5gm²くらい。
土中の成分が全部吸収される訳ではないので、この何倍かは必要なのでしょうが、4倍もあったら十分じゃないんですかね、どうなんですかね。もうちょっと調べてみたいが、ネットだけで調べるのはこれが限界だ。
もう一つ、カルシウムがPHが高い原因かどうかですが、そもそもなんで石灰を入れるとPHが上がるのかわからないので調べてみる。
2.炭酸カルシウムの施用によってpHが上がる理由
酸性土壌に炭酸カルシウムを加えた場合に、pHの上がる理由は、現在の所、図2のような3段階の反応が考えられています。
まず第1段階として、炭酸カルシウム(CaCO3)が雨水や土壌水のような二酸化炭素(CO2)を含んだ水(H2O)に溶解し、炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2を生成します。
次に第2段階として、生成した炭酸水素カルシウムは石灰(Ca+)と重炭酸イオン(HCO3-)とに解離します。
第3段階は、石灰によって土壌粒子から土壌溶液中へ交換浸出されてきた水素イオン(H+)、あるいはもともと土壌溶液中に存在していた水素イオンが、重炭酸イオンと反応して溶存二酸化炭素、さらに水と二酸化炭素(気体)へと変化する過程です。この反応から、酸性の原因である水素イオンが消費されるため、pHが上昇することが分かります。すなわち、酸性矯正がこの段階で達成されます。
また、酸性の間接的な原因であるアルミニウムイオンの一部は、石灰と反応して溶けずらい物質に変化することも指摘されています。
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「考えられています」っていうのはどういうことなんですか。はっきり分かっていないってことなんですか。カルシウムの量とPHの相関関係はどうなっているんですか。良く分かりません。化学をちゃんと勉強しておけばよかったです…
まぁ一旦、カルシウムもマグネシウムも十分、ということにしておきたいと思います。
参考:カルシウム・マグネシウムテストキット使い方
【測定手順】
カルシウム:
1. 測定容器を水で何回かゆすいでください。
2. 付属の注射器で、土壌溶液を測定容器へ5 ml入れてください。
3. カルシウム試薬①を5滴入れ、ぐるぐる回してよく混ぜてください。濁りが出ても測定結果に影響はありません。このまま1分待ちます。
4. 付属の計量スプーン1杯のカルシウム試薬②を加えます。(両端のスプーンの小さい方使います)粉が溶けるまで良く振って混ぜてください。
5. カルシウム試薬③を1滴ずつ加えます。1滴加えるごとに良く振り、色がピンクから紫、そして青に変わるまでの滴数を数えます。
6. 滴数に20をかけた値がカルシウムの量(mg/L)です。
例:カルシウム試薬③12滴 = 240 mg/L
マグネシウム:(マグネシウムとカルシウムの合計値から算出)
1. 測定容器を水で何回かゆすいでください。
2. 付属の注射器で、土壌溶液を測定容器へ5 ml入れてください。
3. マグネシウム試薬①を5滴入れ、ぐるぐる回してよく混ぜてください。このまま1分待ちます。
4. マグネシウム試薬③を1滴ずつ加えます。1滴加えるごとに良く振り、色が赤から灰色がかった茶色、そして緑に変わるまでの滴数を数えます。
5. 滴数に120をかけた値がマグネシウムとカルシウムの合計値(mg/L)です。例:マグネシウム試薬②14滴 = 1680 mg/L (マグネシウム+カルシウム)
6. マグネシウムの量は、この値からカルシウムの量を引いた値です。
例:カルシウム400 mg/Lの場合
1680 mg/L - 400 mg/L = 1280 mg/L (マグネシウム)
注意:マグネシウム+カルシウムの値をより正確に測るには、手順2の土壌溶液を10mlとし、手順6の倍率を60としてください。その他の手順はおなじです。
測定値を土壌診断値へ変換
1. 単位をmg/100gに変換するため、測定した値を10で割ります
100g = 0.1L ⇒ mg/Lは1L中にある分量なので10で割る。
2. 希釈倍率6をかけて土壌中の成分とします
土:水 = 1:6 で土壌溶液を作っているので、6をかけています。