うつしおみ 第2話 夏の静けさ
人影まばらな公園の夏の日の午後は、
静けさが蝉の声を飲み込んでいく。
ひとり歩けば道は枝分かれして、
そのたび私は思うままにどちらかへ足を運ぶ。
どこに行くのか分かっているわけではなく、
それでも私は歩くことを止められない。
そうして私は何度も何処かに行き着いて、
またそこから道を歩き始めるのだ。
歩くことに疲れ果て芝生に寝転び空を見上げれば、
白い雲が悠々と流れて私を追い越していく。
結局、正しい道などないことを知って、
私は戸惑いとその自由さにもがいて空をつかも